自社名で検索したときに出る「変な候補」を消したい。そう思ったとき、Googleに削除を申請する窓口は実際に用意されています。ただし、誰がどんな理由で申し立てても通るわけではなく、「通りやすい型」と「そもそも対象外の型」がはっきり分かれています。
この記事では、Googleサジェストの削除申請をどこから・どんな手順で行うのか、申し立てが検討されやすい条件は何か、通らなかったときに次に何ができるのかを、ITの専門知識がなくても進められる形で順番に説明します。
Googleのサジェスト削除申請とは?まず押さえる前提
サジェスト(検索候補)とは、検索窓に文字を入れたときに下に出てくる候補ワードのことです。「株式会社〇〇」と打った瞬間に「〇〇 ブラック」「〇〇 詐欺」といった言葉が並ぶ状態は、サジェスト汚染と呼ばれます。
サジェストは「人が選んで並べている」わけではない
Googleのサジェストは、担当者が手作業で決めているものではなく、実際の検索回数や検索の傾向をもとに自動で生成されています。つまり削除申請とは「間違った表示を人の手で直してもらう」ではなく「自動表示のルールから外れているので取り下げてほしい」と伝える行為です。ここを取り違えると、申請文の書き方を大きく外してしまいます。
Googleが自主的に外している候補もある
Googleは、暴力的な表現、露骨な性的表現、危険な行為を助長する候補、特定の個人・団体への差別を煽る候補などを、ポリシーに基づいて表示対象から外す方針を公開しています。削除申請は、この既存のポリシーに「この候補も当てはまりますよ」と申し立てる形になります。逆にいえば、単に「印象が悪いから」という理由だけでは方針の対象に当てはまりにくいのが実情です。
申請の前に必ずやっておく3つの準備
いきなりフォームを開くより、先に状況を固めたほうが結果的に早く進みます。所要時間は合わせて30分ほどです。
1. どの環境で出ているのかを記録する
サジェストは端末・ログイン状態・地域によって見え方が変わります。まずシークレットウィンドウ(履歴やログイン情報を使わない閲覧モード)を開き、パソコンとスマートフォンの両方で自社名を入力し、日付が分かる形でスクリーンショットを撮って保存してください。申請時にも、後で状況を比べるときにも使います。調べ方の具体的な手順はサジェストの調べ方|自社名の検索候補を自分で調べる3エンジン手順で詳しく解説しています。
2. 候補ワードの「出どころ」を探す
その候補ワードで実際に検索し、上位に出てくるページを確認します。掲示板の書き込み、口コミサイト、まとめ記事など、火元にあたるページが見つかることが少なくありません。火元が残っている限り、サジェストだけを消しても再び出やすいため、この確認は削除申請と同じくらい重要です。
3. 事実関係を社内で整理する
「事実無根なのか」「過去に実際にあった出来事が尾を引いているのか」で、取るべき手段が変わります。事実無根であれば申し立ての根拠が立てやすく、事実が含まれる場合は削除より先に説明や改善の発信が効くこともあります。ここは経営判断が絡むので、担当者だけで抱えず社内で共有しておいてください。
手順①:検索画面の「不適切な検索候補の報告」から申請する
もっとも手軽で、費用もかからない方法です。パソコンのGoogle検索から行います。
- 検索窓に自社名を入力し、問題の候補が表示された状態にする
- 表示された候補リストの下部に出る「不適切な検索候補の報告」というリンクをクリックする(英語表示では Report inappropriate predictions)
- 報告したい候補にチェックを入れる
- 該当する理由を選ぶ(暴力的、性的、危険、差別的、その他 など)
- 補足欄に、なぜその候補が不適切なのかを具体的に記入する
- 送信する
補足欄に書くべきこと・書かないほうがよいこと
補足欄は自由記述ですが、感情的な訴えではなく事実と根拠を淡々と並べるほうが伝わります。
- 書くとよい:候補ワードの内容が事実と異なること、その根拠(公表している情報、行政の許認可、第三者の記録など)、表示によって生じている具体的な不利益
- 避けたい:「すぐ消せ」「訴える」といった威圧的な表現、長すぎる経緯説明、感想や推測
報告の窓口はGoogleの管理下にあり、送信しても個別の返信は基本的に届きません。「送ったのに音沙汰がない」のは異常ではないと理解しておくと、無駄に何度も送らずに済みます。
手順②:法的な理由がある場合の削除リクエストフォーム
名誉毀損、プライバシー侵害、商標権侵害など、法的な問題があると考えられる場合は、Googleの「法律に基づく削除に関する問題を報告する」フォーム(Legal Help)から申請できます。
フォームで求められる主な情報
- 申請者の氏名・立場(本人か、代理人か)
- 対象となる国・サービス(日本/Google検索)
- 問題のある表示のスクリーンショットまたは検索手順
- どの法的権利が、どのように侵害されているかの説明
- 虚偽申請でないことの宣誓
この窓口を使うときの注意
法的な主張として提出するため、記載内容には責任が伴います。「気に入らない」というレベルの申し立てを法的請求として送るのは、かえって不利に働くことがあります。誹謗中傷や名誉毀損に該当しそうな内容であれば、提出前に弁護士に文面を確認してもらうのが安全です。
なお、法的な窓口を使うか、通常の報告で足りるかの判断基準についてはサジェストの削除方法4つ|自分でできる対処と業者に頼む前の確認点で全体像を整理しています。
削除申請が検討されやすい条件・されにくい条件
公開されているポリシーと実務上の傾向から、方向性は次のように整理できます。
検討されやすい傾向
- 候補ワードが暴力的・性的・差別的な表現を含む
- 個人名と結び付いて、私生活上の情報や病歴など機微な内容を示唆している
- 事実と異なる犯罪行為を示唆し、それを裏づける報道や公的記録が存在しない
- 商標を無断で使った紛らわしい表示になっている
通りにくい傾向
- 「高い」「やめとけ」など、主観的な評価にとどまる語
- 実際に報道・行政処分などの事実があり、公共の関心事といえる内容
- 単に「イメージが悪い」という理由だけの申し立て
- 同じ内容を短期間に何度も繰り返し送っている
ここで大事なのは、通らなかった=手段がなくなった、ではないという点です。サジェストは検索行動の集計結果なので、火元への対処や自社発信によって、時間をかけて変わっていくこともあります。
申請してからどのくらいで結果が出る?
Googleは処理期間を明示していません。数日で変化が見えることもあれば、何週間経っても表示が変わらないこともあります。個別の可否連絡が来ないケースも多いため、判断は「実際の検索画面がどうなったか」を自分で確かめるしかありません。
確認は同じ条件で行う
毎回シークレットウィンドウで、同じ端末・同じ入力の仕方で確認してください。条件がバラバラだと、消えたのか自分の環境の差なのか区別がつきません。サジェストが変わるまでの一般的な時間感覚はサジェストの反映期間はどのくらい?出るまで・消えるまでの目安にまとめています。
待っている間にやっておくと良いこと
申請の結果待ちの期間は、火元ページへの対応(掲示板や口コミサイトの運営者への削除依頼)、自社サイトの会社概要や実績ページの充実など、時間のかかる打ち手を進める時期にあてると効率的です。
申請が通らなかったときに取れる次の手
報告を送っても変化がない場合、次の3方向が現実的な選択肢になります。
1. 火元となっている投稿に対処する
掲示板や口コミサイトには、それぞれ削除依頼の窓口があります。サイトの利用規約に照らして「どの条項に反しているか」を示す形で依頼すると、話が進みやすくなります。
2. 弁護士に相談する
内容が名誉毀損や業務妨害に当たりうる場合、削除請求や発信者情報開示請求といった法的手続きが検討できます。費用と時間はかかりますが、悪質な書き込みが継続している場合には有効な選択肢です。
3. 専門の対策サービスに相談する
自社での対応に手が回らない場合は、サジェスト対策を扱う事業者に相談する方法もあります。たとえば当社が運営するサジェスト汚染対策サービスのように、成果報酬型で相談を受け付けているところもあります。依頼を検討する際は、料金体系と作業内容が書面で明示されるかを必ず確認してください。
サジェストは「消して終わり」ではない
見落とされがちですが、削除申請が通っても、その後まったく出なくなるとは限りません。同じ検索が再び増えれば、候補が戻ってくることがあります。
再発に気づけるかどうかが分かれ目
再び候補が出たとき、早く気づけば取れる手は多く、半年放置すれば火元が増えて対処は重くなります。だからこそ、申請後こそ定期的な確認が必要です。
手動で続けるか、自動にするか
検索エンジン3社分を毎日手で確認するのは、担当者の負担が大きく、忙しい時期に必ず止まります。AccessSuggestは、登録したキーワードのサジェストをGoogle・Bing・Yahoo!で毎日自動チェックし、新しい候補が出たときに通知する監視ツールです。無料プランがあるので、申請を出したあとの経過観察用として登録しておく使い方もできます。
よくある質問
Q. 削除申請は何回まで出せますか?
回数の上限は公表されていません。ただし、同じ内容を短期間に繰り返し送っても状況が良くなるわけではありません。新しい事実や資料が加わったタイミングで、内容を更新して出し直すのが現実的です。
Q. 会社の担当者でも申請できますか?
できます。通常の「不適切な検索候補の報告」は誰でも送信可能です。法的な削除リクエストの場合は、本人か正式な代理人であることを求められるため、社内で権限を確認したうえで提出してください。
Q. 申請したことは相手に知られますか?
通常の報告は検索エンジンへの通知であり、掲示板などへの書き込み者に伝わるものではありません。ただし、火元サイトへ直接削除依頼を出す場合は、依頼内容がサイト側に残ります。
まとめ
Googleサジェストの削除申請は、次の流れで進めるのが基本です。
- シークレットウィンドウで表示を確認し、日付入りで記録する
- 候補ワードで検索して火元ページを探す
- 事実関係を社内で整理する
- 「不適切な検索候補の報告」から、事実と根拠を淡々と記入して送信する
- 法的な問題がある場合は、弁護士の確認を経て法的削除リクエストを使う
- 結果は自分で検索画面を見て確認し、火元対処と自社発信を並行して進める
申請は「打てる手のひとつ」であって、万能の解決策ではありません。火元への対処、自社からの情報発信、そしてその後の継続的な確認をセットで組み立てることが、遠回りに見えて確実です。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
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