「ネガティブな記事の順位を下げたい」——結論から言うと、順位が下がること自体はありますが、狙ったとおりに動かせるものではありません。効果が出やすいのは記事を押し下げる作業そのものではなく、自社発信の情報を増やして検索結果全体の見え方を変えていく地道な積み重ねです。この記事では、いわゆる「逆SEO」で何ができて何ができないのかを整理し、費用をかける前に自分で確認できる手順まで説明します。
ネガティブな記事の順位を下げることはできるのか
結論:下がることはあるが、コントロールはできない
検索順位は、検索エンジンがそのページの内容・信頼性・他サイトからの評価などをまとめて判断した結果として決まります。外部の第三者が「このページを下げてください」と指示できる仕組みはありません。つまり、ネガティブな記事の順位を直接操作するボタンは、誰も持っていないということです。
一方で、結果として順位が下がることはあります。同じキーワードで検索したときに、より役に立つページ・より信頼できるページが増えれば、相対的に押し出される形で下の順位に移動していきます。これが世間で「押し下げ」と呼ばれている現象の正体です。
「押し下げ」は他のページが上がった結果にすぎない
検索結果の1ページ目は席数が決まっています。仮に架空の「山田工業株式会社」で検索したときに、1ページ目のうち自社に関係するページが3件しかなければ、残りの席は掲示板や口コミサイト、まとめ記事などで埋まります。ここに自社の採用ページ、事業紹介、社長インタビュー、取引先向けの実績ページなどが増えていけば、ネガティブな記事は自然に下へ移動していきます。
逆に言えば、自社が出せる情報が乏しいままだと、いくら「下げたい」と願っても席は空きません。順位を下げる話は、実質的には「自社の情報をどれだけ増やせるか」という話に置き換わります。
そもそも逆SEOとは?言葉の意味を整理する
逆SEO(ぎゃくSEO)とは、特定のページの検索順位を下げることを目的とした施策の総称です。SEOが「自社のページを上げる」取り組みであるのに対し、逆SEOは「他人のページを下げる」ことを目指す、という文脈で使われます。
正攻法の逆SEOと、避けるべき逆SEO
同じ「逆SEO」という言葉でも、中身は大きく2つに分かれます。ひとつは、自社サイトや自社が発信するコンテンツを充実させ、検索結果の上位を良質な情報で埋めていく正攻法です。もうひとつは、大量のサイトを機械的に作って上位表示を狙ったり、対象ページに不自然なリンクを送って評価を落とそうとしたりする手法で、こちらは検索エンジンのガイドラインに反する可能性があります。
後者は、うまくいかないだけでなく、関与した自社サイトの評価まで巻き添えで落とすおそれがあります。「早く下げたい」という焦りにつけ込む提案には注意してください。
検索エンジンは「順位を下げる依頼」を受け付けていない
Googleなどの検索エンジンには、法令違反や個人情報の掲載といった限られた理由に基づく削除申請の窓口はありますが、「気に入らないから順位を下げてほしい」という依頼を受け付ける窓口はありません。ここを誤解したまま業者に相談すると、話がかみ合わないまま費用だけがかさむことになります。
ネガティブな記事の順位を下げるためによく行われる4つの手法
① 自社サイトのページを増やす・整える
もっとも基本的で、もっとも安全な方法です。会社概要、事業紹介、よくある質問、施工事例や導入事例、採用情報、スタッフ紹介、お知らせなど、社名で検索した人が知りたい情報をページとして用意します。1ページに詰め込むより、テーマごとに分けたほうが検索結果に複数出やすくなります。
② 自社が管理できる外部の場所を持つ
自社サイトだけでは席の数に限りがあります。Googleビジネスプロフィール(Googleマップ上の店舗・事業所情報)、採用媒体の企業ページ、業界団体の会員名簿、公式SNSアカウント、プレスリリース配信など、自社の名義で情報を出せる場所を複数用意しておくと、社名検索の結果を自社関連で埋めやすくなります。
③ すでに上位にある自社ページを強化する
新しいページを作るより、すでに2〜5位あたりに出ている自社ページの内容を厚くするほうが早く動くことがあります。情報が古いままの会社概要を更新する、代表者名や所在地、連絡先を明記する、写真を追加するといった作業です。詳しくは社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処でも解説しています。
④ 大量のサイトや被リンクを使う手法(おすすめしません)
中身の薄いサイトを大量に作って検索結果を埋める、対象ページに不自然なリンクを大量に送るといった手法です。検索エンジンのガイドラインに反する可能性が高く、効果が続かないばかりか、自社サイトの評価にも悪影響が及ぶおそれがあります。提案を受けたら、具体的に何をするのかを必ず書面で確認してください。
逆SEOが効きやすいケース・効きにくいケース
効きやすいのは「社名検索」で、競合が弱い場合
社名や店名のような指名キーワードは、そもそも検索する人が限られ、対象ページの数も多くありません。この場合、自社が出す情報を数ページ増やすだけでも並び順が変わることがあります。中小企業や個人店ほど、この効果は出やすい傾向にあります。
効きにくいのは大手メディア・大手口コミサイト
ニュースサイトや大手の口コミサイト、規模の大きい掲示板は、サイト全体の評価が高いため、後から作った自社ページで抜くのは簡単ではありません。また「社名+評判」「社名+やばい」のように、ネガティブな情報を探す意図が明確なキーワードでは、自社の紹介ページが上に来にくい構造になっています。
この場合は順位を動かすことに固執せず、内容が事実と異なるなら削除・訂正を求める、事実であれば改善して発信するなど、別の打ち手に切り替えたほうが結果的に早いことが多いです。
順位を下げる作業に入る前に確認したい3つのこと
その記事は本当に読まれているか
気になる記事ほど自分では何度も見に行ってしまいますが、実際には検索結果の2ページ目以降にあり、ほとんど閲覧されていないケースもあります。まずは社名・店名・「社名+評判」など、取引先や応募者が実際に打ちそうな言葉で検索し、何ページ目に出るのかを確認しましょう。
削除や訂正を求めたほうが早い内容ではないか
事実と異なる記載、すでに解決済みの古いトラブル、個人情報の掲載などが含まれる場合は、順位を動かそうとするより、サイト運営者に訂正・削除を依頼したほうが早いことがあります。名誉毀損にあたりうる内容や、発信者情報の開示を検討するような段階であれば、弁護士に相談する判断も必要です。
かける費用と、失っているものを比べる
対策には時間もお金もかかります。その記事のせいで問い合わせや応募がどの程度減っているのか、商談で実際に話題に出たことがあるのかを、社内で一度共有しておきましょう。影響が見えないまま高額な契約に進むと、判断のものさしがなくなります。基本的な進め方は中小企業のネット風評被害対策|最初にやる5つのことにまとめています。
自分でできる「押し下げ」の進め方(費用ゼロで始める)
手順1:現状の検索結果を記録する
ブラウザのシークレットウィンドウ(閲覧履歴を残さないモード。ログイン状態や過去の検索の影響を受けにくくなります)を開き、社名で検索します。1ページ目から2ページ目までに出てきたページのタイトルとURLを、上から順にスプレッドシートへ書き出してください。日付も一緒に記録します。これが出発点になります。
手順2:自社が出せる情報を棚卸しする
記録した一覧を見て、自社関連のページが何件あるかを数えます。5件未満なら、まだ増やす余地があります。会社概要、代表挨拶、事業内容、よくある質問、事例、採用情報、Googleビジネスプロフィール、公式SNS——このうち未整備のものを書き出し、着手しやすい順に並べます。1か月に1〜2本のペースでも、半年で6〜12ページ増えます。
手順3:月1回、同じ条件で見比べる
毎月同じ日に、同じキーワード・同じ手順で検索し、順位の並びを記録します。変化は数週間単位でしか現れないため、毎日確認しても消耗するだけです。月1回のチェックで、自社ページが増えているか、気になる記事が下がっているかを淡々と追いかけるのが現実的です。
検索順位だけでなくサジェストも同時に見る
サジェストには「押し下げ」が効かない
サジェスト(検索窓に文字を入れたときに下に出てくる検索候補)は、ページの順位とは別の仕組みで表示されます。世の中で実際に検索された言葉の組み合わせなどをもとに出るため、自社ページをいくら増やしても、候補そのものは変わりません。記事の順位は下がったのに、社名の横に出る候補は残ったまま——という状況は珍しくありません。
サジェスト側にどんな選択肢があるかはサジェストの削除方法4つ|自分でできる対処と業者に頼む前の確認点で整理しています。順位対策とは別の話として考えてください。
変化に気づく仕組みを持っておく
検索順位を手動で追いかけるだけでも手間ですが、サジェストはGoogle・Bing・Yahoo!でそれぞれ候補が違い、日によっても変わります。毎月の手動チェックに加えて、候補の増減を自動で記録しておくと、「いつから出はじめたのか」が後から分かります。AccessSuggestは3つの検索エンジンの候補を毎日自動で取得し、新しい候補が出たときに通知する監視ツールです。無料プランがあるので、まずは自社名を1件登録して様子を見るところから始められます。
よくある質問
業者に頼めば必ず順位は下がりますか?
下がることを約束できる業者はありません。検索順位を決めているのは検索エンジンであり、外部から確実に動かす方法は存在しないためです。「必ず下げます」といった説明があった場合は、根拠と作業内容を具体的に確認し、契約書に成果の定義が書かれているかを見てください。
ネガティブな記事に反論する記事を書くのは有効ですか?
反論そのものを目的にすると、かえって話題を広げてしまうことがあります。相手を名指しで批判するのではなく、「よくある誤解と当社の実際の対応」といった形で、事実を淡々と説明するページを用意するほうが無難です。読み手は検索結果の中で比較しているので、落ち着いた説明のほうが信頼されやすくなります。
どのくらいの期間で変化が見えますか?
新しく作ったページが検索結果に反映されるまでに数日〜数週間、順位の並びが安定するまでにさらに時間がかかります。数か月単位で見ていく前提で、月1回の記録を続けてください。短期間で大きく動いた場合は、その変化が定着するかどうかも合わせて確認しましょう。
まとめ
ネガティブな記事の順位を下げることは、直接操作できるものではありません。現実的なのは、自社が出せる情報を増やして検索結果の席を埋め、結果として相対的に下がっていく状態をつくることです。まずはシークレットウィンドウで社名を検索し、1〜2ページ目の一覧を記録するところから始めてください。
そして、検索順位とサジェストは別の仕組みで動いています。両方を月1回のペースで見比べておくと、対策の効果と、次に手を打つべき場所が見えてきます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
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