Googleのサジェスト(検索窓に文字を入れると自動で出てくる検索候補のこと)は、誰かが手作業で選んでいるものではありません。実際に検索された言葉のデータをもとに、機械が自動で並べています。
その決まり方を左右しているのは、大きく分けて「検索された量」「検索の新しさ」「地域と言語」「検索する人自身の状況」の4つです。この記事では、サジェストの仕組みを専門用語なしで整理したうえで、自社名にどんな候補が出ているのかを自分で正しく確認する手順までを解説します。
サジェストの決まり方は「誰かの判断」ではなく「検索データの集計」
最初に押さえておきたいのは、サジェストに出てくる言葉はGoogleの担当者が1件ずつ選んでいるわけではないという点です。ここを誤解していると、「誰かに連絡すればすぐ直してもらえる」という前提で動いてしまい、対応が遠回りになります。
そもそもサジェストとは
サジェストとは、検索窓に文字を入力した瞬間に、その下へリスト状に表示される候補のことです。日本語では「検索候補」「予測変換」「オートコンプリート」などと呼ばれます。たとえば架空の会社「〇〇工業」を入力したとき、「〇〇工業 求人」「〇〇工業 年収」といった言葉が下に並ぶ、あの部分です。
利用者からすると入力の手間を省く便利機能ですが、企業側から見ると社名の第一印象を左右する表示領域でもあります。検索した人は、検索結果のページを開く前に、まずこのリストを目にするからです。
人が1件ずつ選んでいるわけではない
サジェストの候補は、膨大な検索データを機械的に処理して自動生成されています。「この会社にはこの候補を出そう」という個別の意思決定が入っているわけではありません。
裏を返せば、元になっている検索の動きが変われば、候補も時間をかけて変わっていくということでもあります。仕組みを知ることが、落ち着いた判断の出発点になります。
サジェストが表示されるまでの仕組み
次に、候補が画面に出るまでの流れをかんたんに追ってみます。細かい技術の話は不要で、大きな流れをつかんでおけば十分です。
元になっているのは過去の検索ログ
検索エンジンは、世界中の利用者が「どんな言葉で検索したか」という記録(検索ログ)を蓄積しています。サジェストは、この記録の中から実際に一定量が検索されている組み合わせを抜き出したものです。
つまり、誰も検索していない言葉は原則としてサジェストには出ません。逆に、社名と組み合わせて検索されている言葉があれば、それが候補として浮かび上がってくる可能性があります。
入力した文字に前方一致する候補が呼び出される
「〇〇工」まで入力した段階で候補が出るのは、その文字から始まる検索が多い組み合わせを、リアルタイムで引き当てているためです。1文字入力するたびに候補が入れ替わるのはこのためです。
そのため、社名を最後まで打ち切った状態と、途中まで打った状態とでは、表示される候補が違うことがあります。確認するときは途中の段階から順に目視すると、見落としが減ります。
候補は常に更新され続けている
検索の動きは日々変わるため、サジェストも固定されたものではありません。新商品の発売、テレビでの紹介、SNSでの話題化などがあると、それに応じて候補が入れ替わります。
「先週は出ていなかった候補が今週は出ている」ということが普通に起こります。1回だけ見て安心するのではなく、定期的に見る前提で付き合うのが現実的です。
サジェストの決まり方を左右する4つの要因
ここからが本題です。同じ社名でも候補が違って見えるのは、次の4つが影響しているためです。
要因1|検索された回数の多さ
もっとも基本になるのが、その組み合わせがどれだけ検索されているかという量です。「社名+求人」「社名+評判」といった候補がよく見られるのは、単純にそう検索する人が多いからです。
ここで注意したいのは、検索が多い=内容が事実である、という意味ではないことです。ネガティブな候補が出ていても、それは「その言葉で検索した人がいた」という事実を示すだけで、書かれている内容の真偽とは無関係です。
要因2|検索の新しさ(トレンド)
検索エンジンは、直近で急に増えた検索にも反応します。長年の合計では少なくても、ここ数日で集中的に検索された言葉は候補に上がりやすくなります。
突発的な出来事のあとに見慣れない候補が現れるのはこのためで、話題が落ち着くと自然に薄れていくケースもあります。出た直後に慌てて動くより、数日〜数週間の推移を見るほうが判断を誤りにくい場面もあります。
要因3|地域と言語
サジェストは、検索している人の地域設定や言語設定によっても変わります。日本語で日本から検索した場合と、別の国・別の言語から検索した場合では、候補が一致しないことがあります。
社内で確認したときと、取引先が別の拠点で確認したときで見え方がずれるのは、多くの場合この要因です。
要因4|検索する人自身の状況
ログイン状態や過去の検索履歴、使っているブラウザや端末によっても、表示される候補は変わります。自分が何度も検索した言葉が、自分の画面では上に出やすくなることもあります。
この点は非常に重要で、自分の画面で見えているものが、他人にも同じように見えているとは限りません。確認方法については後半で手順を紹介します。
Googleが自動で除外している候補もある
すべての検索がそのまま候補になるわけではなく、検索エンジン側のポリシーによって表示されにくくなっている種類の言葉もあります。
ポリシーで表示されにくい種類の候補
一般に、次のような性質を持つ候補は表示対象から外れやすいとされています。
- 暴力的・危険な内容を含むもの
- 露骨な性的表現を含むもの
- 特定の属性への差別や中傷にあたるもの
- 個人を特定できる情報を含むもの
これらは、利用者から申し立てがなくても自動的に判定される仕組みが働いています。
それでもネガティブな候補が残ることがある理由
一方で、「社名+やばい」「社名+ブラック」のような言葉は、上記のような明確な禁止類型に当てはまらないことが多く、検索されている限り候補として残りやすいという性質があります。
ここが企業側にとってやっかいな点です。明らかな中傷であれば自動的に外れることもありますが、グレーな言葉ほど機械的には判断されにくく、結果として長く表示され続けることがあります。
自社のサジェストを「素の状態」で確認する手順
仕組みが分かったところで、実際に自社がどう見えているかを確認してみましょう。ポイントは、要因4で触れた「自分の履歴の影響」をできるだけ取り除くことです。
手順1|シークレットウィンドウを開く
シークレットウィンドウ(プライベートウィンドウ)とは、閲覧履歴やログイン状態を持ち込まずにブラウザを使うモードのことです。Chromeなら「Ctrl+Shift+N」、Edgeなら「Ctrl+Shift+N」、Safariなら「command+shift+N」で開けます。
普段使っているウィンドウのまま調べると、自分の検索履歴が候補に混じります。まずここを分けるだけで、見え方の精度がぐっと上がります。
手順2|社名をゆっくり入力する
検索窓に社名を1文字ずつ入力し、途中の段階でどんな候補が出るかを順に確認します。最後に半角スペースを入れると、「社名+◯◯」の形の候補がさらに出てきます。
見つけた候補は、日付と一緒にメモやスクリーンショットで残しておきます。あとから「いつから出ているのか」を説明する必要が生じたとき、この記録が効いてきます。
手順3|Bing・Yahoo!でも同じ言葉を試す
サジェストの仕組みは検索エンジンごとに違うため、Googleでは出ていないのにBingでは出ている、といったことが起こります。採用応募者や取引先が必ずGoogleを使うとは限りません。
最低でもGoogle・Bing・Yahoo!の3つは同じ手順で確認しておくと、抜けが減ります。より詳しい確認手順は、関連記事でも紹介しています。
仕組みを踏まえると、サジェスト対策で現実的にできること
決まり方を理解すると、企業側にできることとできないことの線引きが見えてきます。
「消す」の前に「知る」が先
いきなり削除の話から入る前に、まずはいま何が、どの検索エンジンで、いつから出ているのかを把握することが先決です。状況が分からないまま業者や専門家に相談しても、話が噛み合いません。
実際、確認してみたら心配していたような候補は出ていなかった、というケースも珍しくありません。
定点観測が効く理由
サジェストは日々変動するため、単発のチェックでは「悪化しているのか、落ち着いてきているのか」が分かりません。同じ条件で継続的に見て初めて、変化として読み取れます。
とはいえ、複数の検索エンジンを毎日手作業で確認し続けるのは現実的ではありません。AccessSuggestは、登録した社名やブランド名についてGoogle・Bing・Yahoo!の検索候補を自動で取得し、新しい候補が出たときに知らせる仕組みです。無料プランから試せるので、まずは自社の現状を把握する目的で使ってみてください。
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よくある質問
Q. サジェストは自分で検索を繰り返せば変えられますか?
A. 同じ言葉を意図的に繰り返し検索して候補を操作しようとする行為は、検索エンジン側で不自然な動きとして扱われる可能性があり、おすすめできません。仕組み上も、少人数の操作で安定した変化を起こせるものではありません。
Q. 候補が出る位置(順番)にも意味はありますか?
A. 上に表示されるものほど、その時点で関連性が高いと判定されている傾向があります。ただし順番も変動するため、位置だけで一喜一憂せず、候補そのものの内容と推移を見るほうが実務的です。
Q. 会社名の表記ゆれも確認したほうがいいですか?
A. 確認してください。「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」「〇〇」だけ、ひらがな・カタカナ・英字表記、略称など、実際に検索されそうな形はそれぞれ別の候補を持ちます。ブランド名や店舗名、代表者名も同様です。
まとめ
サジェストの決まり方と仕組みを整理すると、次のようになります。
- 候補は人が選んでいるのではなく、実際の検索データから自動生成されている
- 決まり方を左右するのは「検索量」「新しさ」「地域・言語」「検索する人の状況」の4つ
- 自分の画面で見えているものが、他人の画面と同じとは限らない
- 確認はシークレットウィンドウで、Google・Bing・Yahoo!の3つを同じ手順で
- サジェストは日々変わるため、単発ではなく継続的に見ることが前提になる
仕組みが分かれば、必要以上に不安になることも、逆に放置しすぎることもなくなります。まずは今日、自社名を素の状態で検索してみるところから始めてみてください。
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