会社名を検索したときに変な候補が出る場合、まずやるべきは業者への連絡ではなく「本当に他の人にも同じ候補が見えているのか」の確認です。検索候補は見る人・端末・場所によって変わるため、自分の画面に出ているものが全員に見えているとは限りません。
この記事では、自社名の隣に見慣れない言葉が並んでいるのを見つけたときに、順番どおりにたどれば状況が整理できる確認手順をまとめます。専門のツールがなくても、ここまでは自分でできます。そのうえで、原因の当たりのつけ方、打ち手の選択肢、やってはいけないことまで順に見ていきます。
会社名を検索して変な候補が出たとき、最初に知っておきたいこと
検索窓に文字を入れると下にずらりと並ぶ候補を、検索エンジンはオートコンプリート(入力途中の言葉を先回りして補う機能)と呼びます。日本のWeb業界では一般にサジェストと呼ばれるものです。
候補は「事実」ではなく「よく一緒に検索された言葉」
ここが一番の勘違いポイントです。候補に「〇〇工業 ブラック」と出ていても、それは検索エンジンが「〇〇工業はブラック企業だ」と判定した結果ではありません。単に、その2語を組み合わせて検索した人が一定数いた、という履歴の集計に近いものです。誰か一人が繰り返し検索しただけで候補に上がることもあります。
慌てて動くほど選択肢が減る
変な候補を見つけた直後は、誰でも冷静ではいられません。ただ、この段階で「とにかく消したい」と動き出すと、状況を把握しないまま費用のかかる方法から手をつけてしまいがちです。まずは確認、次に原因、それから打ち手。この順番を守るだけで、無駄な出費と時間をかなり減らせます。
サジェストそのものの仕組みや、なぜ企業が気にする必要があるのかについては、サジェスト(検索候補)とは?仕組みと、企業が気にすべき理由で詳しく整理しています。
STEP1|その候補が「自分だけに見えているもの」ではないか確認する
検索候補には、その人自身の検索履歴が混ざります。自社名を毎日検索している経営者の画面には、他の人には出ない候補が出ることがあります。まずここを切り分けます。
シークレットウィンドウで見る
シークレットウィンドウ(履歴やログイン情報を使わずに開く閲覧モード)を使うと、自分の履歴の影響をほぼ外した状態を確認できます。
- Chromeなら右上の「︙」から「新しいシークレットウィンドウ」を開く(Windowsは Ctrl+Shift+N、Macは ⌘+Shift+N)
- Edgeは「InPrivate ウィンドウ」、Safariは「プライベートウインドウ」が同じ機能
- 検索窓に会社名を入力し、Enterは押さずに候補が並ぶのを待つ
- 会社名のうしろに半角スペースを1つ入れて、さらに出てくる候補も見る
ここで変な候補が消えるなら、それはあなたの検索履歴が作り出していたものです。実害はほぼありません。逆に、シークレットウィンドウでも出るなら、他の人にも見えている可能性が高いということになります。
端末と回線を変えて見る
候補は地域によっても変わります。会社のWi-Fiだけでなく、スマホのモバイル回線でも同じ検索をしてください。パソコンとスマートフォンで候補の数や並び順が違うのも普通のことです。可能なら、遠方の取引先や知人に「うちの会社名を検索したらどんな候補が出ますか」と聞いてみるのが、いちばん確実な答え合わせになります。
STEP2|3つの検索エンジンで同じことを確かめる
Google・Yahoo!・Bingは、それぞれ別の仕組みで候補を出しています。1社で出ていても他の2社では出ていない、ということは珍しくありません。どこで出ているかによって、その後の相談先も変わります。
3エンジンでの確認手順
- Google:シークレットウィンドウで google.co.jp を開き、検索窓に会社名を入力して候補を見る
- Yahoo!:同じウィンドウで yahoo.co.jp を開き、同様に入力する
- Bing:bing.com でも同様に入力する
- それぞれ、会社名だけの状態と、会社名+半角スペースの状態の2パターンを見る
見たものを必ず記録に残す
この作業でいちばん大事なのが記録です。候補は数日で入れ替わることがあり、「先週は出ていたのに、証拠を残す前に消えた」ということが起こります。次の3点をセットで残してください。
- 画面全体のスクリーンショット(時計や日付が写り込む形が望ましい)
- 確認した日時・検索エンジン名・端末(PC/スマホ)・回線
- 候補として出た文字列を、そのまま書き起こしたテキスト
後で削除の申し立てをする場合も、弁護士に相談する場合も、この記録があるかどうかで話の進み方がまったく変わります。
STEP3|その候補の「元ネタ」があるか探す
候補が確認できたら、次はその候補をそのまま検索窓に入れてEnterを押します。つまり「〇〇工業 ブラック」で実際に検索して、検索結果に何が出るかを見ます。
元ネタが見つかる場合
掲示板の書き込み、口コミサイトのレビュー、SNSの投稿、まとめ記事などが上位に出てきたら、それが候補を押し上げている源である可能性が高いといえます。この場合、候補だけを気にするより、その投稿そのものへの対応を検討したほうが根本的です。内容が事実に反する、あるいは名誉毀損にあたりうるものであれば、弁護士への相談が選択肢に入ります。
元ネタが見つからない場合
検索しても該当する記事や書き込みが見当たらないケースもあります。この場合は、実体のある書き込みではなく、検索行動そのもの(誰かが繰り返し検索した、SNSで一時的に話題になった、社名が似た別の会社と混同されている、など)が候補を生んでいる可能性があります。消すべき対象がない分やっかいですが、時間の経過とともに自然に入れ替わることも多い類型です。
会社名を検索して変な候補が出る、よくある4つの原因
STEP3までの結果と照らし合わせながら、どの原因に近いかの当たりをつけます。
1. 一時的に検索数が跳ねた
ニュースになった、SNSで名前が回った、求人票が話題になったなど、短期間に同じ組み合わせで検索されると候補に上がりやすくなります。話題が落ち着けば候補も入れ替わっていくのが一般的です。
2. 掲示板・口コミサイトでの言及
元記事があり、それを読んだ人が同じ言葉で検索する、という循環が生まれているパターンです。書き込みが残っている限り、候補も戻りやすい傾向があります。
3. 同名・類似社名の他社との混同
意外と多いのがこれです。まったく無関係の同名企業で起きた出来事が、社名が同じというだけで自社の候補に反映されてしまいます。心当たりがまるでない場合は、社名で検索して他社が出てこないかを確認してください。
4. 意図的な検索の繰り返し
特定の組み合わせを人為的に繰り返し検索して候補を作り出そうとする行為も存在します。検索エンジン側も対策を進めている領域ですが、完全に防げているわけではありません。
原因の分類とその見分け方については、サジェスト汚染とは?会社名の隣に出る「変な言葉」の正体でさらに掘り下げています。
放っておくと、どこに実害が出るか
「候補が出ているだけで記事があるわけではないから」と放置されがちですが、影響が出る場所ははっきりしています。
採用への影響
応募を検討している人は、ほぼ確実に社名を検索します。求人サイトから会社名をコピーして検索窓に貼り付けた瞬間、候補が目に入ります。応募という行動の一歩手前で止まってしまうため、企業側からは「なぜ減ったのか」が見えにくいのが厄介な点です。
取引・与信への影響
新規取引の前に相手企業を検索するのは、いまや当たり前の手順です。担当者本人が気にしなくても、社内で稟議を通す際に「検索したらこう出ますが」と指摘されると、説明の手間が発生します。
確認が終わったあとに取れる打ち手
状況が整理できたら、次の3つを状況に応じて組み合わせます。どれか1つで解決する、という性質のものではありません。
自社発信を増やす
もっとも地味ですが、土台になる打ち手です。会社概要、代表挨拶、実績、採用ページ、お知らせの更新など、社名で検索した人が最初に触れる情報を自社の手で用意しておくと、検索結果ページ側の印象が整います。候補そのものを直接変える力はありませんが、候補を見た人が次に行く先をコントロールできます。
検索エンジンへ申し立てる
Google・Yahoo!・Bingにはそれぞれ、検索候補に関する報告・削除依頼の窓口があります。各社が公表しているポリシーに照らして問題があると判断された場合に対応が検討される、という建て付けで、申し立てれば必ず消えるというものではありません。STEP2で残した記録が、そのまま申し立ての材料になります。
専門家に相談する
元ネタとなる書き込みがあり、その内容が事実に反する場合や、名誉毀損・業務妨害にあたりうる場合は、弁護士への相談が現実的な選択肢になります。対策会社に依頼する場合は、何をどこまでやるのか、成果をどう定義するのかを書面で確認してから契約してください。
やってはいけない3つのこと
気になって何度も自分で検索する
心情としてはよく分かるのですが、逆効果になりえます。社名とネガティブな言葉の組み合わせを自分で検索し続ければ、それも検索行動として記録されます。確認は「決めた頻度で、記録を残しながら」行うのが鉄則です。
見つけた書き込みに感情的に反論する
掲示板やSNSでの反論は、話題を広げ、検索される回数を増やす方向に働くことがあります。発信するなら、自社サイトで事実を淡々と説明する形が安全です。
「必ず消えます」という説明をうのみにする
検索候補は検索エンジン側の判断で決まるもので、第三者が確実にコントロールできる性質のものではありません。断定的な説明をする相手には、その根拠と、成果が出なかった場合の条件を必ず文書で確認してください。
一度きりの確認で終わらせない
ここまでの手順を一通りやると、それなりに時間がかかります。そして候補は動き続けるため、一度確認して終わりにすると、次に気づくのは誰かに指摘されたときになってしまいます。
まずは月1回、カレンダーに入れる
手動で続けるなら、月1回、担当者を決めて、3エンジン分のスクリーンショットをフォルダに日付名で保存する。これだけでも「いつから出ているか」が分かる資料になります。負担が大きいと感じたら、監視を自動化する方法もあります。AccessSuggestは、登録した会社名について Google・Bing・Yahoo! の検索候補を毎日自動で取得し、新しい候補が増えたときに知らせる仕組みです。無料プランから試せます。
よくある質問
シークレットウィンドウでも変な候補が出ます。すぐ業者に依頼すべきですか?
その前に、3つの検索エンジンでの確認と、元ネタの有無の確認を済ませてください。どこで出ているのか、原因になっている書き込みがあるのかによって、適した相談先(検索エンジンの窓口/弁護士/対策会社)が変わります。この2点が分からないまま依頼すると、費用に見合わない対応になりがちです。
社員に「検索しないで」と言うべきでしょうか?
禁止する必要はありませんが、社内で興味本位の検索が繰り返されるのは望ましくありません。「確認は担当者が月1回まとめて行う」とルールを決めて共有するほうが、実務としては現実的です。
まったく身に覚えがない言葉が出ています。何を疑えばいいですか?
同名・類似名の別会社との混同を最初に疑ってください。社名だけで検索して、自社以外の会社が結果に混ざっていないかを確認します。混同が原因の場合、自社サイトを社名検索で確実に上位に出す(会社概要や所在地の情報を充実させる)ことが、遠回りに見えて効く対処になります。
まとめ
会社名を検索して変な候補が出たときの手順を、あらためて整理します。
- STEP1:シークレットウィンドウ・別端末・別回線で、自分だけに見えているものでないか確認する
- STEP2:Google・Yahoo!・Bingの3つで確認し、スクリーンショットと日時を必ず記録する
- STEP3:その候補をそのまま検索して、元ネタとなる書き込みがあるかを確かめる
- 原因の当たりをつけたうえで、自社発信・検索エンジンへの申し立て・専門家への相談を組み合わせる
- 一度で終わらせず、月1回など頻度を決めて見張る仕組みにする
候補は「事実」ではなく「検索された履歴の集計」です。だからこそ、感情ではなく記録で向き合うのが、いちばん早い解決につながります。まずはSTEP1を、今日5分だけやってみてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
毎日”自動チェック”
クレジットカード不要・登録1分。まずは無料プランで、
自社名にどんな候補が出ているか確かめてみませんか?
