「自社名で検索すると、隣に出てくる候補を消したい」——結論から言うと、サジェスト(検索窓に文字を入れたときに出る検索候補)を消す方法は大きく4つあります。検索エンジンへの削除申請、元になっている書き込みへの対処、自社発信による検索の入れ替え、そして専門業者への相談です。
どれか1つが万能というわけではなく、「候補がなぜ出ているのか」によって選ぶべき手が変わります。この記事では、費用をかけずに自分でできるところから順に、現実的な選択肢を整理します。
サジェストの「削除」には3つの意味がある
まず言葉の整理からです。「サジェストを削除したい」と相談される内容は、実際には次の3つのどれか(あるいは複数)に分かれます。ここを混同したまま動くと、時間もお金も無駄になりがちです。
(1) 検索候補そのものを表示させない
検索窓に社名を入れたときに出る候補の一覧から、特定の語を外してもらうことです。これは検索エンジン側の判断領域なので、こちらからできるのは「申し立てる」ところまでになります。
(2) 候補の元になっている情報を減らす
サジェストは、多くの人が実際に検索した語や、ウェブ上に存在する情報のかたまりを反映して作られます。つまり「社名+その語」で検索する人が減り、その語を含むページが減れば、候補として出る根拠も弱まります。遠回りに見えて、実はこちらが本筋になるケースが少なくありません。
(3) 候補をクリックした先の中身を整える
候補自体は残っていても、その語で検索した結果の1ページ目に自社の公式な説明が並んでいれば、閲覧者が受け取る印象は大きく変わります。「消す」だけが対策ではない、という視点です。
削除に動く前に確認すべき3つのこと
いきなり申請フォームに向かう前に、5分でできる事実確認をしておくと、その後の判断が段違いに楽になります。
本当に自社のことを指しているか
たとえば「〇〇工業 ブラック」という候補が出ていても、同名の別会社や、まったく無関係な業界用語が混じっていることがあります。候補の語で実際に検索して、出てくるページが自社に言及しているのかを先に確かめてください。無関係だと分かれば、それだけで対応は不要になります。
どの検索エンジン・どの入力で出るか
Google・Yahoo!・Bingは候補の作られ方が違うため、片方だけに出ていることがよくあります。また「社名」だけで出るのか、「社名+スペース」で出るのか、スマホだけで出るのかも記録しておきます。申請するときに、この具体性がそのまま説得材料になります。調べ方の手順はサジェストの調べ方|自社名の検索候補を自分で調べる3エンジン手順にまとめています。
いつから出ているか、スクリーンショットを残す
サジェストは日によって変動します。「今日は出るが明日は出ない」という状態だと、申請しても状況を伝えづらくなります。日付が分かる形でスクリーンショットを保存しておきましょう。後から弁護士や業者に相談する場合も、この記録があるかどうかで話の早さが変わります。
方法1:検索エンジンに削除を申し立てる
最も直接的で、費用がかからない方法です。各検索エンジンは、検索候補について問題を報告する窓口を用意しています。
Googleの場合
検索窓に語を入力すると候補の一覧が出ます。その一覧の下部に「不適切な検索候補を報告」というリンクが表示されるので、そこから報告できます。パソコンのブラウザで操作するのが確実です。報告画面では、どの候補が、どういう理由で問題なのかを選ぶ形式になっています。
報告は自動で受け付けられますが、個別に返信が来る仕組みではありません。送信したら日付と内容を控えておき、しばらく様子を見る、という進め方になります。
Yahoo! JAPAN・Bingの場合
Yahoo! JAPANはヘルプページ内のお問い合わせフォームから、Bingはフィードバック用の窓口から報告します。いずれも「該当する語」「表示された状況」「なぜ問題なのか」を具体的に書くほど、状況が伝わりやすくなります。
通りやすいケース・通りにくいケース
一般論として、明らかな中傷表現、犯罪をほのめかす語、個人名と結びついた機微な情報などは、検索エンジン側のポリシーに触れやすい部類です。逆に「〇〇株式会社 評判」「〇〇工業 やばい」のように、単に多く検索されているだけで違法性の判断が難しい語は、削除の対象になりにくい傾向があります。
大切なのは、申請すれば必ず消えるものではない、と前提を置いておくことです。無料で試せる手なので出しておく価値は十分にありますが、これ1本に賭けないほうが精神的にも楽になります。
方法2:元になっている書き込みや記事に対処する
候補の語で検索したときに、特定の掲示板や口コミサイト、まとめ記事が上位に出てくるなら、そこが「候補を支えている土台」になっている可能性があります。
サイト運営者への削除依頼
多くのサイトには、権利侵害の申告フォームや問い合わせ窓口があります。事実と異なる記述、なりすまし、無断転載といった具体的な問題点を挙げて依頼するのが基本です。「気に入らないから消してほしい」という書き方では、まず動いてもらえません。どの一文が、どの事実と異なるのかを、資料を添えて示します。
弁護士に相談すべき判断ライン
次のような場合は、自社だけで抱えずに弁護士へ相談することを検討してください。名誉毀損にあたりうる断定的な表現がある、虚偽の事実によって取引が中止された、投稿者を特定して責任を追及したい、同じ投稿者が繰り返し書き込んでいる——といったケースです。投稿者を特定する発信者情報開示の手続きには期限が絡むこともあるため、迷った段階で一度相談しておくと選択肢が狭まりません。
方法3:自社発信で検索の入り口を作り直す
地味ですが、中長期でいちばん効いてくるのがこれです。ネガティブな候補が出る背景には、「その会社について、公式の情報が少なすぎる」という状況があることが多いからです。
採用の待遇や労働環境、料金体系、よくある誤解への回答など、検索されがちなテーマを自社サイト側で正面から書いておく。会社概要や運営者情報を充実させる。求人ページや実績紹介を更新する。こうした発信が積み上がると、社名で検索した人が最初に触れる情報が変わっていきます。
「候補を消す」ことはコントロールできませんが、「候補を押したあとに何を見せるか」は自社でコントロールできます。ここは削除申請と並行して、今日から始められる部分です。
方法4:専門の業者に相談する
自社での対応に限界を感じたら、風評対策を扱う事業者に相談する選択肢もあります。相談する場合は、料金体系(月額固定か、成果報酬か)、契約期間、途中解約の条件、何をもって「成果」とするのかの定義を、必ず契約前に文書で確認してください。
参考までに、当サイトの運営元でもサジェスト汚染対策のサービスを提供しており、こちらは成果報酬型を用意しています。相談先の選択肢のひとつとして、他社と比較する際の材料にしていただければと思います。
やってはいけない、逆効果になりやすい動き
焦って動いた結果、状況を悪くしてしまう例もあります。次の3つは避けてください。
気になって何度も自分で検索する
検索候補は検索された回数の影響を受けます。社員全員で「社名+ネガティブ語」を繰り返し検索すれば、自分たちで候補を育てることになりかねません。確認は担当者を決めて、必要な頻度に絞りましょう。
掲示板に会社アカウントで反論を書き込む
反論そのものが新しい話題になり、スクリーンショットが拡散して、かえって情報量が増えることがあります。公式の見解を出すなら、自社サイトの中に落ち着いた文章で置くほうが安全です。
「必ず消します」と断言する業者に即決する
サジェストの表示は検索エンジン側のアルゴリズムで決まるため、外部から確実に消せると断言できる立場の事業者は存在しません。断言する説明を受けたら、その根拠を具体的に確認してください。
消えたあとも監視が要る理由
サジェストは一度変化しても、話題が再燃したり、新しい書き込みが増えたりすると再び出てくることがあります。対応が一段落したあとも、月に1回程度でいいので、社名の検索候補を定点で見ておくことをおすすめします。
手作業でも十分できますが、担当者の記憶頼みになると、忙しい時期にどうしても抜けます。AccessSuggestはGoogle・Bing・Yahoo!の検索候補を毎日自動で取得し、新しい候補が出たときにメールで知らせるツールです。「気づくのが遅れて手が打てなかった」という状態を避けたい場合の選択肢として使えます。仕組みそのものを詳しく知りたい方はサジェストの決まり方と仕組みもあわせてご覧ください。
よくある質問
削除申請を出してから、どのくらいで結果が分かりますか?
期間は公表されておらず、個別の返信もありません。申請日を記録して、週に1回程度、実際に検索して確認するのが現実的な進め方です。変化がないまま時間が経つようなら、他の方法と並行して進めることを検討してください。
費用をかけずにできることはありますか?
あります。検索エンジンへの報告、サイト運営者への削除依頼、自社サイトでの情報発信、この3つはいずれも無料で着手できます。まずここまでを一通りやってから、外部への依頼を検討する順番がおすすめです。
社名を変えれば解決しますか?
候補は社名という文字列に紐づいているため、名称変更で表示が変わることはあります。ただし、取引先への周知、看板や名刺の作り直し、登記の手続きなど負担が大きく、旧社名の情報が残る点も踏まえる必要があります。他の手を尽くしたうえでの最終手段と考えるのが妥当です。
まとめ
サジェストの削除方法を整理すると、(1) 検索エンジンへの申し立て、(2) 元になっている書き込みへの対処、(3) 自社発信による情報の入れ替え、(4) 専門業者への相談、の4つです。どれも「これだけやれば終わり」にはなりません。無料でできる(1)と(3)を先に動かしつつ、悪質性が高い場合は(2)で弁護士を挟む、という組み立てが現実的です。
そして、いずれの手を打つにしても出発点は「今どんな候補が出ているかを、正確に把握していること」です。まずは自社名の検索候補を一度確認するところから始めてください。サジェスト汚染そのものについてはサジェスト汚染とは?会社名の隣に出る「変な言葉」の正体で詳しく解説しています。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
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