ソーシャルメディアポリシーの作り方|社員のSNS投稿から会社の評判を守るルールと周知の手順

ソーシャルメディアポリシーで社員のSNS投稿から会社の評判を守るイメージ

ソーシャルメディアポリシーとは、会社がSNSをどう使い、社員にどう使ってほしいかを文書にしたものです。作り方の要点は、①公開する方針と社内向けガイドラインを分けて考える、②守秘・顧客情報・写真の写り込み・私的アカウントの扱い・相談窓口を盛り込む、③入社時と年1回は必ず周知する、④違反時の扱いは就業規則と整合させる、の4つです。

社員のSNS投稿が原因で会社の評判が傷つくケースは、悪意よりも「うっかり」から始まることがほとんどです。この記事では、中小企業の経営者・店舗オーナー・総務担当者の方が、A4で1〜2枚のルールをゼロから作り、社内に定着させるまでの手順を解説します。

目次

ソーシャルメディアポリシーとは|公開する方針と社内ガイドラインの違い

公開する方針と社内ガイドラインの違いを表す書類と天秤

ソーシャルメディアポリシー(SNSポリシー)は、X・Instagram・LINE・TikTok・YouTubeなどのSNSについて、会社としての考え方と運用ルールを定めた文書です。実務では「対外向け」と「社内向け」の2つの役割があり、混ぜて書くと誰にも読まれない文書になりがちです。

対外的に公開する「ソーシャルメディアポリシー」

公式アカウントをどんな目的で運用し、どんな内容を発信するのか、コメントやメッセージにどう対応するのか、個人情報をどう扱うのかを、お客様や取引先に向けて示すものです。自社サイトのフッターなどに置いておくと、「この会社は発信に責任を持っている」という信頼の材料になります。

社員に向けた「SNSガイドライン」

こちらは社員・パート・アルバイトが日々の行動で迷わないための、具体的なルール集です。「やってはいけないこと」だけでなく「やってよいこと」「迷ったら誰に聞くか」まで書くのがコツで、外部に公開する必要はありません。小さな会社では1つの文書にまとめても構いませんが、読み手が違うことは意識して章を分けましょう。

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社員のSNS投稿が会社の評判に響く3つの場面

社員の投稿が拡散して広がるイメージ

ルールを作る前に、自社で実際に起こりそうな場面を具体的に思い浮かべておくと、必要な項目が自然に決まります。中小企業で特に多いのは次の3つです。

場面1:写真・動画の写り込み

職場や店内の様子を楽しく投稿したつもりが、背景にお客様の顔、パソコン画面の顧客リスト、書類、来店予約表が写っていた、という場面です。投稿者に悪意はなくても、情報漏えいとして扱われるおそれがあります。

場面2:私的アカウントでの愚痴・お客様や取引先への言及

匿名のつもりのアカウントでも、勤務先や業種、時間帯の書き方から会社や店が特定されることは珍しくありません。「今日の客、最悪だった」といった一言が拡散すると、会社の姿勢そのものが疑われます。

場面3:公式アカウントの誤投稿・不用意な返信

担当者が個人アカウントと取り違えて投稿する、批判的なコメントに感情的に言い返す、といったミスです。公式アカウントは会社の発言として受け取られるため、影響が最も大きくなります。

こうした投稿が広がると、検索結果や検索候補に社名と一緒にネガティブな言葉が並ぶことがあります。広がり方の整理は風評被害とは|企業に起きる4つの型と、ネットで広がる仕組みで解説しています。また、すでに店舗のSNSで炎上が始まってしまった場合は、店舗のSNS炎上、初動48時間でやることを先に確認してください。この記事は、そうなる前の「起こさないための準備」が主題です。

盛り込む項目①|守秘・顧客情報・写真の写り込み

守秘情報・顧客情報・写真の写り込みを守る鍵付きフォルダ

ここからは、ルールに盛り込む項目を具体的に見ていきます。まずは情報の扱いに関する3つです。

守秘義務と未公開情報

新商品・価格改定・採用予定・取引先との契約内容・売上などの未公開情報は、SNSに書かない、と明記します。「社外秘」の範囲があいまいだと判断が割れるため、「公式サイトやプレスリリースで公表済みのもの以外は書かない」のように、線引きを一文で示すのが実用的です。

お客様・取引先の情報

お客様の氏名、来店や利用の事実、会話の内容は、本人の同意がなければ投稿しない、と定めます。個人が特定できなくても、「昨日来た〇〇な人」といった書き方で本人や周囲に分かってしまう場合があります。個人情報の取り扱いは、個人情報保護法の考え方に沿って社内の別規程とそろえておきましょう。

写真・動画の写り込み

投稿前に確認する場所を、チェックリストにしておくと効果的です。

  • 背景にお客様・他の社員の顔が写っていないか
  • パソコンやタブレットの画面、ホワイトボード、書類が写っていないか
  • 名札・社用車のナンバー・看板・住所の分かる表示が写っていないか
  • 位置情報(ジオタグ)が付いたまま投稿していないか

撮影そのものを禁止する場所(バックヤード、事務所、診察室など)を決めておくと、判断に迷う場面が減ります。

盛り込む項目②|私的アカウントでの言及・公式アカウントの運用

私的アカウントと公式アカウントのルールを表す2台のスマートフォン

私的アカウントでの言及のルール

私生活まで細かく縛ると反発を招き、ルールが形骸化します。「会社・お客様・取引先・同僚を特定できる形で批判しない」「会社の見解のように受け取られる書き方をしない」「勤務時間中に私的投稿をしない」といった、守ってほしい最小限に絞るのが現実的です。所属を明かして投稿する場合は、「個人の意見です」と添える運用を勧める会社もありますが、それだけで責任が免れるわけではないことも伝えておきましょう。

公式アカウントの運用ルール

公式アカウントには、次のような決まりごとが必要です。

  • 運用担当者と、投稿前に確認する承認者(最低2人体制)
  • 投稿してよい内容・避ける話題(政治・宗教・他社批判など)
  • コメントやDMへの返信方針と、判断に迷うときのエスカレーション先
  • ログイン情報の管理方法(共有の仕方、退職者が出たときの変更手順)
  • 誤投稿を見つけたときの削除・訂正の手順

誹謗中傷のコメントが付いたときの社内の動き方は、会社への誹謗中傷の対応|社内でまず決めておくべき5つのルールに整理しています。ポリシーには「この場合はこのルールに従う」と一行で参照しておけば十分です。

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相談窓口と、投稿してしまったときの報告ルール

相談窓口と報告ルールを表すベルと電話と浮き輪

どれだけ丁寧にルールを作っても、うっかりの投稿はゼロにはなりません。大切なのは、起きたときに隠さず早く報告できる仕組みです。

相談窓口は「人」ではなく「役割」で決める

窓口を特定の個人にすると、休暇や退職で機能しなくなります。「総務担当」「代表者直通のメールアドレス」など役割や共通の連絡先で定めましょう。投稿前に迷ったときの相談先と、投稿後に問題に気づいたときの報告先を、同じ窓口にしておくと分かりやすくなります。

「怒られない報告」を最優先に

報告をためらう最大の理由は、叱責への恐れです。「自分で気づいて報告した場合は、まず状況確認を優先する」と明記すると、報告が早くなります。報告を受けたら、投稿者本人にすぐ削除させるのではなく、まず画面保存で記録を残してから対応を決めます。記録の残し方は魚拓の取り方|誹謗中傷の書き込みを証拠として残す方法が参考になります。

掲示板などに本人が書いた投稿の消し方は、爆サイで自分の投稿を削除する方法で説明しています。事故・不祥事に当たる重い内容であれば、不祥事・商品回収のときの対応|検索結果に何を出すかのように、公式の発表ページを整える判断も必要になります。

作り方の手順|ひな形から社内に出すまで

作り方の手順を表す階段とチェックリスト

白紙から文章を書き始めると、抽象的な一般論になりがちです。次の6つの手順で進めると、自社に合ったルールになります。

  1. 現状を洗い出す:会社として使っているSNS、担当者、社員が業務で使っているアプリを一覧にします。
  2. 起こりそうな場面を3つ選ぶ:前述の写り込み・私的アカウント・公式アカウントのうち、自社で最も起こりやすいものから順に決めます。
  3. 「やってよいこと」から書く:禁止事項だけの文書は萎縮を招きます。応援してほしい投稿の例(社員が楽しく発信してよい内容)も入れます。
  4. A4で1〜2枚のひな形にする:項目は、目的・守秘・お客様情報・写真の撮り方・私的アカウント・公式アカウント・相談窓口・違反時の扱い、の8つで十分です。
  5. 関連規程と照らし合わせる:就業規則、個人情報の取扱規程、情報セキュリティの規程と矛盾がないかを確認します。必要に応じて社会保険労務士や弁護士に目を通してもらいます。
  6. 試験運用して直す:まず部署や店舗の代表者に読んでもらい、「分かりにくい」「厳しすぎる」の声で言い回しを直してから全社に出します。

他社のひな形をそのまま使うと、自社の実態と合わず、守られないルールになります。ひな形は考え方の参考にとどめ、自社の場面に合わせて書き換えてください。

周知の手順|入社時・年1回・変更時

年1回の周知を表すカレンダーと拡声器

ルールは作っただけでは機能しません。共有フォルダに置いただけでは、半年後には誰も覚えていないのが普通です。周知は次の3つのタイミングで行います。

  • 入社時:就業規則と同じ場で、5分でよいので口頭で説明し、読んだことを確認します。パート・アルバイト・派遣社員・業務委託の方も対象にします。
  • 年1回:ミニ研修として、実際にあった(あるいは起こりそうな)事例を1〜2件紹介します。長い研修より、短く繰り返すほうが記憶に残ります。
  • 変更時:SNSの仕様や自社の運用が変わったら改定し、改定日を明記して再周知します。

周知したあとは、世の中の見え方を確認する習慣も大切です。社名で定期的に検索して、ネガティブな語が出ていないかを見る方法は、会社のエゴサーチのやり方|自社の評判チェックを仕組み化する7ステップで手順を示しています。検索候補の変化を継続して見たい場合は、サジェストの監視方法|手動・スプレッドシート・ツールの3通りを比較を参考にしてください。手動での確認が負担になってきたら、自動で毎日チェックできる監視ツールの活用も選択肢になります。AccessSuggestは、Google・Bing・Yahoo!の検索候補を自動で監視するツールで、無料プランから試せます。

違反時の扱いは就業規則と整合させる

就業規則と整合させる天秤と規程集

ポリシーに「違反したら処分する」と書くだけでは、実際に処分する場面で使えないことがあります。社員への処分(懲戒)は、就業規則の根拠が前提になるのが一般的だからです。

就業規則とのつながりを確認する

労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と届出を求めています。また、制裁(懲戒)を定める場合は、その種類と程度を就業規則に記載することも求めています。自社が対象かどうか、現在の就業規則にSNSに関する記載があるかは、社会保険労務士や弁護士に確認してください。条文の最新の内容は、e-Gov法令検索などの公式ページで確認できます。

処分ありきの書き方を避ける

実務では、①事実の確認、②本人の説明を聞く、③行為の内容と処分の重さのバランスを見る、という順で進めます。ポリシーには「違反が確認された場合は、就業規則に基づいて対応する」と書き、具体的な処分内容は就業規則側に任せる書き方が、整合を取りやすくなります。なお、本記事は一般的な情報提供であり、個別の事案は専門家にご相談ください。

よくある質問

よくある質問を表す吹き出しと電球

従業員が数人の小さな会社でもソーシャルメディアポリシーは必要ですか?

必要です。人数が少ないほど、1人の投稿が会社の評判に直結します。分量はA4で1枚でも十分で、「写真を撮るときの確認」「お客様の話を書かない」「困ったら相談する」の3点だけでも、書面にして全員に説明する意味があります。

社員の私的なSNSアカウントまで、会社はどこまで決められますか?

私生活の自由には配慮が必要で、会社が細かく制限できる範囲には限りがあると考えられています。「会社や顧客を特定できる形での誹謗や情報の公開をしない」といった、業務や信用に直接関わる最小限のルールにとどめるのが安全です。範囲の判断は個別の事情で変わるため、専門家に確認してください。

ひな形をそのまま使っても問題ありませんか?

ひな形は書式の参考にはなりますが、自社の業務に合わせて書き換えが必要です。特に、写真を撮る場所、お客様の情報の扱い、公式アカウントの承認フローは会社ごとに違います。そのまま使うと現場の実態と合わず、守られないルールになりやすい点に注意してください。

まとめ

まとめを表す盾とチェックマーク

ソーシャルメディアポリシーは、社員を縛るためではなく、社員と会社の両方を守るための文書です。ポイントを整理します。

  • 公開する方針と社内ガイドラインは、読み手が違うので分けて考える
  • 守秘・お客様情報・写真の写り込み・私的アカウント・公式アカウント・相談窓口の6項目を軸にする
  • 報告しやすい仕組み(怒られない窓口)を先に作る
  • 入社時・年1回・変更時の3タイミングで周知する
  • 違反時の扱いは就業規則と整合させ、専門家に確認する

まずは今日、自社で一番起こりやすい場面を1つ選び、A4で1枚の下書きを作るところから始めてみてください。作成後は、社名の検索結果や検索候補を定期的に確認する習慣をつけると、ルールの効果を確かめられます。

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この記事を書いた人

三田 健司のアバター 三田 健司 株式会社アクセス・リンク 代表取締役 / 認定SEOコンサルタント

(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント。株式会社アクセス・リンク代表。10年以上にわたりSEOコンサルティングとホームページ制作に携わり、40業種・100サイト以上の改善に立ち会ってきました。

この仕事をしていると「検索結果に何が出ているか」で問い合わせの数がはっきり変わる場面に何度も出会います。なかでもサジェスト(検索候補)は、本人がいちばん見ていない場所です。取引先や求職者から指摘されて初めて気づく、という相談が実際に少なくありません。

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