サジェストの削除は弁護士に相談すべき?依頼を検討する4つのケースと相談前の準備

サジェストの削除で弁護士に相談すべきなのは、「事実と違う犯罪・違法行為を思わせる語が出ている」「個人名と結びついてプライバシーに関わる語が出ている」など、権利侵害がはっきりしているケースです。逆に、ネガティブに見えるだけの一般的な語は、弁護士に頼んでも打てる手は多くありません。

この記事では、サジェスト(検索窓に文字を入れたときに下に出る検索候補)の問題を弁護士に相談すべきかどうかの見分け方を、判断の順番に沿って整理します。相談前に自分で準備しておく資料や、費用の考え方までまとめました。

目次

サジェストの削除で弁護士に相談すべきかは「権利侵害の有無」で決まる

サジェストに困ったときの選択肢は、大きく3つに分かれます。①検索エンジンの窓口に自分で削除を申し立てる、②サジェスト対策を扱う事業者に依頼する、③弁護士に相談する。このうち③が向いているのは、出ている語が名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害といった「法的な権利侵害」にあたる可能性があるときです。

検索エンジンへの削除申請と、弁護士対応は目的が違う

検索エンジンへの削除申請は、各社が公開しているポリシー(運用ルール)に照らして「この候補はポリシー違反ではないか」と申し立てるものです。無料で、その日のうちに出せます。一方、弁護士に依頼する対応は、法律上の権利が侵害されていることを根拠に、検索事業者に対して削除を求めたり、裁判所に仮処分を申し立てたりするものです。

つまり、前者は「ルール違反かどうか」、後者は「違法かどうか」を問う手段です。同じ「削除してほしい」でも土俵が別なので、どちらが自社の状況に合うかを最初に見極める必要があります。

まず自分でできることを終えてからでも遅くない

弁護士への相談は費用も時間もかかります。多くのケースでは、先に無料の削除申請を出し、その結果を見てから次を考えるほうが合理的です。申請の具体的な手順は、GoogleについてはGoogleサジェストの削除申請の手順、Yahoo!・BingについてはYahoo!・Bingの削除依頼の窓口と書き方で解説しています。

ただし、後述する「緊急性が高いケース」に当てはまる場合は、自分で試す時間を惜しんで、早めに専門家に相談したほうがよいこともあります。

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弁護士に相談したほうがよい4つのケース

以下の4つに当てはまるなら、法的な検討の余地があります。自社の状況をひとつずつ照らし合わせてみてください。

ケース1:事実と異なる犯罪・違法行為を思わせる語が出ている

たとえば架空の「〇〇工業株式会社」で検索したときに、実際にはそうした事実がないのに「詐欺」「逮捕」「違法」といった語が並ぶケースです。社会的評価を下げる内容が事実に反して示されている状態なので、名誉毀損にあたる可能性が検討されます。取引の停止や採用への影響といった実害が出ていれば、なおさら相談する価値があります。

ケース2:個人名と結びついた語が出ている

会社名ではなく、代表者や従業員の実名と一緒にネガティブな語が出ている場合です。個人の名誉・プライバシーに関わるため、法人名の場合より保護されやすい傾向があります。従業員が対象になっているなら、本人の意思を確認したうえで、会社として支援するかどうかを決める必要があります。

ケース3:削除申請を出したが対応されず、被害が続いている

各社の窓口に申し立てても状況が変わらず、その間も問い合わせ減少や採用辞退といった影響が続いているなら、次の手段を検討する段階です。申請を出した日付と結果の記録は、そのまま相談時の資料になります。

ケース4:サジェストの先にある投稿や記事のほうが「本体」

サジェストは、多くの人が検索した語が集まって表示されるものです。つまり、その語が出る背景には、掲示板の書き込みやまとめ記事など「話題の発生源」があることが少なくありません。発生源の投稿が明確な虚偽や中傷であれば、そちらへの対応(投稿の削除請求や、投稿者を特定するための発信者情報開示請求)のほうが本筋です。この領域は弁護士でなければ進められません。

逆に、弁護士に頼んでも打てる手が少ないケース

「ネガティブに見える」ことと「違法である」ことは別です。次のようなケースでは、法的手段より別のアプローチのほうが現実的です。

比較語・一般語が並んでいるだけの場合

「〇〇 評判」「〇〇 やばい」「〇〇 やめとけ」といった語は、検索する人の関心を反映しているだけで、それ自体が虚偽を主張しているわけではありません。不快ではあっても、権利侵害として構成するのは容易ではありません。この場合は、自社発信を増やして検索結果の中身を整えるほうが効きます。

指摘されている内容に事実が含まれる場合

過去に実際にあったトラブルや、公表済みの行政処分などが背景にある場合、削除を求めても認められにくくなります。法的手段に時間を使うより、現在の改善状況を自社サイトで説明するほうが、検索してきた人には届きます。

知っておきたい法律用語を3つだけ

相談の場で話が早く進むよう、最低限の言葉だけ押さえておきましょう。

  • 名誉毀損:具体的な事実を示して、人や会社の社会的評価を下げること。内容が真実かどうか、公共性があるかどうかが争点になります。
  • 信用毀損・業務妨害:虚偽の情報を流して会社の経済的な信用を傷つけたり、業務を妨げたりすること。刑事の問題になる場合もあります。
  • 発信者情報開示請求:匿名の投稿者が誰かを、サイト運営者やプロバイダに開示させる手続き。投稿者本人に責任を問う前提として行われます。

「仮処分」という選択肢

裁判の判決を待たずに、暫定的に削除を命じてもらう手続きを仮処分といいます。通常の訴訟より短い期間で結論が出る一方、担保金を法務局に預ける必要があるなど、相応の準備が要ります。どの手続きを選ぶかは事案によって変わるため、弁護士との相談で決めることになります。

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相談前に用意しておく5つの資料

手ぶらで相談に行くと、初回はヒアリングだけで終わってしまいます。次の5点をそろえておくと、その場で見通しの話まで進みます。

  1. サジェストのスクリーンショット:画面全体を、日付が分かる形で保存します。パソコンとスマートフォンの両方、可能ならGoogle・Yahoo!・Bingの3つ分。
  2. いつから出ているかの記録:気づいた日、その前後で何があったか(退職者とのトラブル、SNSでの言及、報道など)。
  3. 発生源と思われるページのURL:掲示板やまとめサイトなど。ページ自体も画面保存しておきます。
  4. 実害の記録:問い合わせ件数の推移、取引先から指摘された日時と内容、採用選考の辞退理由など、数字や日付で残せるもの。
  5. これまでに出した削除申請の控え:申請日、送信先、結果。

スクリーンショットは「消える前」に撮る

サジェストは検索の動向で入れ替わるため、相談の予約が取れた頃には表示が変わっていることがあります。証拠として残すなら、気づいた時点で撮っておくのが鉄則です。日々の記録の残し方はサジェストの監視方法で詳しく書いています。

弁護士の選び方と費用の見方

ネットトラブルの取扱実績があるかを見る

弁護士にも得意分野があります。事務所のサイトで「インターネット上の誹謗中傷」「発信者情報開示」を業務分野として掲げているか、解決事例が載っているかを確認しましょう。地域の弁護士会が実施している法律相談や、日本弁護士連合会の紹介窓口から探す方法もあります。

費用は「何にいくらかかるか」を分解して聞く

一般に、相談料・着手金・報酬金・実費(裁判所に納める費用や担保金など)に分かれます。合計金額だけを聞くのではなく、どの手続きまで含まれるのか、想定どおりに進まなかった場合はどうなるのかを、契約前に書面で確認してください。

なお、法的手続きにまで進まない段階で相談先を探すなら、サジェスト対策を扱う事業者という選択肢もあります。当社が運営するサジェスト汚染対策サービスでは成果報酬型の相談も受け付けているので、費用の考え方を比べる材料にはなるはずです。業者に依頼する場合の確認点はサジェスト削除業者の費用相場にまとめました。

法的手段と並行して進めておきたいこと

手続きには時間がかかります。その間、検索してきた人が見る情報を放置しないことが大切です。

自社発信で検索結果の中身を整える

会社概要、代表者の挨拶、事業内容、取引実績、お客様の声。基本的な情報がきちんと載っているだけで、検索した人の受け取り方は変わります。サジェストそのものを消せなくても、クリックした先に信頼できる情報があれば、判断は変わります。

表示の変化を継続的に記録する

いつからどの語が出ていて、いつ消えたのか。この記録は、法的手続きでも事業者との交渉でも資料として使えます。手動でも構いませんが、毎日確認し続けるのは負担が大きいところです。AccessSuggestは、登録した会社名についてGoogle・Bing・Yahoo!の検索候補を毎日自動で取得し、変化があったときにメールで知らせるツールです。無料プランから使えるので、証拠を残す仕組みとして併用を検討してみてください。

よくある質問

弁護士に頼めばサジェストは確実に消えますか?

いいえ。弁護士に依頼することは、法的な根拠にもとづいて削除を求める手続きを進められるという意味であって、結果を保証するものではありません。表示が変わるかどうかは、内容の性質や検索の動向によって変わります。「必ず消せる」と説明する相談先があれば、その根拠を必ず確認してください。

まず無料相談だけ受けることはできますか?

初回相談を無料または定額で受け付けている事務所は多くあります。また、各地の弁護士会や法テラス(日本司法支援センター)でも相談の窓口があります。前述の5つの資料を持参すれば、その場で「法的に争える可能性があるか」の感触は聞けるはずです。

サジェストと、その先の書き込みは同時に対応すべきですか?

優先順位としては、書き込みなどの発生源が先です。発生源が残っている限り、そこへ向かう検索が続き、サジェストも戻りやすくなります。ただし発生源が特定できないケースもあるため、どちらから着手するかは相談のうえで決めるのが現実的です。

まとめ:判断の順番を決めておけば迷わない

サジェストの削除で弁護士に相談すべきかどうかは、「出ている語が事実と違う権利侵害にあたるか」で切り分けられます。まず無料の削除申請を試し、それでも状況が変わらず、かつ実害が続いているなら相談の段階です。相談に行くときは、スクリーンショット・時系列・発生源URL・実害の記録・申請の控えの5点を持参してください。

そして、どの手段を取るにしても土台になるのが「今どう表示されているか」の記録です。まずは自社名の検索候補を確認するところから始めてみてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。

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この記事を書いた人

三田 健司のアバター 三田 健司 株式会社アクセス・リンク 代表取締役 / 認定SEOコンサルタント

(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント。株式会社アクセス・リンク代表。10年以上にわたりSEOコンサルティングとホームページ制作に携わり、40業種・100サイト以上の改善に立ち会ってきました。

この仕事をしていると「検索結果に何が出ているか」で問い合わせの数がはっきり変わる場面に何度も出会います。なかでもサジェスト(検索候補)は、本人がいちばん見ていない場所です。取引先や求職者から指摘されて初めて気づく、という相談が実際に少なくありません。

指摘される前に自分で気づける仕組みがほしい。そこから AccessSuggest を作りました。このブログでは、サジェスト汚染や風評被害について「まず自分でできること」を、専門用語を避けて書いていきます。

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