社名変更のお知らせは、検索する人への案内でもあります
社名変更のお知らせは、取引先への挨拶状とサイトのトップ告知で終わりではありません。検索で旧社名を打つ人を、新社名のページへ迷わず案内できているかどうかが、これまでの評判を引き継げるかの分かれ目になります。
やることは4つです。①旧名と新名を併記する期間を決める、②お知らせページを1枚つくる、③旧サイトのURLは301転送(恒久的な引っ越しをGoogleに伝える設定)でつなぐ、④検索結果と地図の名称を新社名にそろえる。この順に進めれば、旧社名での検索が多少残っていても、見た人が「同じ会社だ」と確認できる状態になります。
筆者は株式会社アクセス・リンクの代表で、(社)全日本SEO協会認定のSEOコンサルタントとして、10年以上、さまざまな業種のホームページ改善に携わってきました。社名変更の相談で多いのは、お知らせを出したのに「旧社名で検索すると古い情報ばかり出る」「新社名で検索しても自社サイトが上に来ない」という戸惑いです。この記事では、その原因と、自分で確認できる手順を整理します。
最初に決めておく3つのこと
- 併記する期間(旧社名を「旧:〇〇」として添える期間)
- お知らせを載せるURL(トップページの告知は消えるので、固定のページを別に用意する)
- 変更日と、旧サイトのURLをどこへ転送するか
この記事で扱う範囲
商号変更の登記や契約書・名刺の切り替えなど、社内手続きは扱いません(登記の期限などは司法書士など専門家にご確認ください)。ここでは「検索したときの見え方」に絞ります。
社名変更の直後に、検索まわりで起きること
社名を変えた日から、検索結果が一斉に切り替わるわけではありません。検索エンジンが新しいページを見つけて評価し直すまでに時間がかかり、その間は旧社名の情報が残ります。よくある状況を3つに分けて見ておきましょう。
旧社名で検索する人はしばらく残る
取引先、元の顧客、過去に応募した人は、旧社名で検索し続けます。この人たちが旧社名で調べたときに、新社名が書かれたページへたどり着けるかが重要です。旧社名の検索を「なくす」のではなく「新社名につなぐ」と考えるのが出発点です。
古い口コミ・記事・掲載情報は旧社名のまま残る
口コミサイト、ポータルサイト、過去のニュース記事、他社サイトの紹介ページは、自社が直せない限り旧社名のままです。評判そのものは引き継がれる一方で、新社名で検索したときの情報量は少なくなります。検索する人から見ると「新しい会社で実績が見えない」状態になりがちです。
検索候補には旧社名と新社名が並ぶことがある
検索候補(サジェスト)は、検索された回数などから自動で決まります。社名変更の直後は「新社名 旧社名」「旧社名 変更」のような候補が出ることがあります。これは多くの場合、ごく自然な動きです。決まり方はサジェストの決まり方と仕組みで、反映までの目安はサジェストの反映期間で解説しています。
社名変更のお知らせページの作り方|旧名と新名の併記期間

お知らせページは、社名変更の「窓口」になるページです。検索で旧社名を打った人が、そこを開けば「同じ会社です」と一目で分かるように作ります。
お知らせページに必ず入れる項目
- 変更日(西暦と和暦のどちらかに統一し、年月日まで書く)
- 旧社名と新社名(読み仮名・英字表記がある場合はそれも)
- 変わるものと変わらないもの(所在地・電話番号・代表者・担当者・取引口座など)
- お問い合わせ先と、旧サイトからの案内であることが分かる一文
「変わらないもの」を明記すると、問い合わせの電話が減り、旧社名の検索で不安になった人にも安心して読んでもらえます。事業内容や所在地を併せて載せる場合は、会社概要・運営者情報の充実が信頼につながる理由で整理した項目が参考になります。
併記期間は「半年から1年」を目安に会社ごとに決める
併記とは、新社名の横に「旧:〇〇株式会社」と添えて表示することです。期間は、旧社名で呼ばれてきた長さや取引先の数によって変わります。長く使ってきた社名ほど、旧社名で検索する人が残るため、併記も長めにしておくと安全です。一般には半年から1年を目安にしつつ、後述する検索回数の変化を見て切り上げ時期を決めます。
併記する場所は、サイトのトップページ、会社概要、お問い合わせページ、SNSのプロフィール、請求書や名刺のひな形などです。「期限つきで載せる」と決め、終了日をカレンダーに入れておくと、いつまでも古い表記が残る事態を防げます。
旧サイトからの転送設定(301)と、変更前のチェック

社名変更と同時にドメイン(URLの住所部分)も変える場合は、旧ドメインから新ドメインへの301転送が欠かせません。301転送とは「このページは恒久的に引っ越しました」と、閲覧者と検索エンジンに伝える設定です。設定がないと、旧URLにあった評価が新しいURLに引き継がれず、新社名で検索しても自社サイトが上に出にくくなります。
ページごとに対応づけて転送する
旧サイトのトップページだけを新サイトのトップへ転送するのは、避けたほうがよい方法です。旧サービスページは新サービスページへ、旧会社概要は新会社概要へと、ページごとに対応する宛先を決めます。転送先が見つからないページがある場合は、内容の近いページに寄せるか、お知らせページへ案内します。
公開前に確認する5点
- 旧URLの一覧を取り、すべて転送先が決まっている
- 転送が「301」になっている(一時的な「302」のままにしない)
- 転送が何重にもつながっておらず、1回で新URLに着く
- 新サイトの内部リンク・サイトマップ・canonicalが新URLを指している
- Google Search Consoleの「アドレス変更ツール」を使う場合の条件を確認した(最新の手順はGoogleの公式ヘルプで確認してください)
転送は、少なくとも1年は残すのが一般的な目安とされています。取りやめる時期は、旧URLへのアクセスが十分に減ったことを確かめてから決めてください。社名で1位に出ない場合の一般的な原因は、社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処にまとめています。
検索結果・地図・ナレッジパネルの名称をそろえる手順
サイトを直しても、検索結果の右側や地図に旧社名が残ることがあります。これらは別々の情報源から表示されているので、一つずつ確認して直します。
Googleビジネスプロフィール(地図)の名称
店舗や事務所を地図に登録している場合は、ビジネスプロフィールの事業者名を新社名に更新します。名称の変更は審査で確認されることがあり、登記簿や看板など実態が分かる情報を求められる場合もあります。反映に時間がかかる場合は、営業時間や電話番号など他の項目が最新かどうかも併せて見直しましょう。
ナレッジパネル(検索結果の右側の企業情報)
検索結果に企業情報の枠が出ている場合、旧社名のまま残っていることがあります。表示元の情報(公式サイト、ビジネスプロフィール、公的な情報など)を新社名に揃えたうえで、枠の持ち主として修正を提案します。手順はGoogleのナレッジパネルを修正する手順で解説しています。
外部サイトの掲載情報
企業ポータル、業界団体の会員名簿、求人サイト、SNS、取引先サイトの紹介ページなど、自社で直せる場所は新社名に更新します。直せない場所は、掲載元に修正を依頼します。新社名と旧社名が混在する期間は、同じ住所・電話番号・事業内容を載せておくと、検索する人が同一の会社だと判断しやすくなります。
旧社名の検索候補とのつきあい方|消そうとせず、つなぐ

社名変更のあとに「新社名 旧社名」「旧社名 変更」といった候補が出ても、慌てて消そうとする必要はありません。これらは、社名の変更を知った人が確かめるために検索している、ごく自然な動きだからです。
候補が出ること自体は問題ではない
注意したいのは、旧社名と新社名の候補に、「詐欺」「やばい」「倒産」といった不安を呼ぶ言葉が並ぶ場合です。社名変更をして悪評から逃げた、と誤解した検索がきっかけになることがあります。そのような誤解を生まないために、お知らせページには、変更の理由(事業の拡大、親会社との統合、ブランド統一など)を事実だけで簡潔に書いておくと効果的です。
候補が気になるときの確認の順番
- 新社名・旧社名のそれぞれで、Google・Bing・Yahoo!の検索候補を確認する(やり方はサジェストの調べ方)
- 不安を呼ぶ言葉が出ているなら、その言葉で検索して、実際に何が書かれているかを見る
- 事実と違う記載があるときは、掲載元への修正依頼や、お知らせページでの説明を検討する
旧社名は、変更後も監視するキーワードに入れておきます。選び方は風評監視のキーワードの選び方の「旧社名」の項目に書いたとおりです。
取引先・求職者への周知と、変更後3か月の確認スケジュール
検索対策と並行して、周知の抜けをなくします。社名変更のお知らせは、相手が違えば見る場所も違います。
相手別に伝える場所を決める
- 取引先:挨拶状・メール・請求書の備考欄(旧社名を併記した新しい書式を使う)
- 求職者:採用ページ、求人媒体の会社情報、面接案内のメール署名
- 一般の顧客:サイトのトップ告知、SNS、店頭や窓口の掲示
検索で自社を調べる人の多くは、取引や応募の直前です。旧社名と新社名のどちらで調べても同じ会社にたどり着けるように、外から見える場所を一通り更新しておきます。ブランドを検索で守る基本の考え方は、ブランドを検索で守る方法も参考にしてください。
変更後3か月のチェック表
次の頻度で、検索結果の変化を確認します。1回あたり30分もかかりません。
- 1週目:新社名・旧社名で検索し、お知らせページと新サイトが出るか確認
- 1か月目:Search Consoleで、新社名・旧社名の検索回数と、旧URLの転送状況を確認
- 3か月目:検索候補・地図・ナレッジパネルの名称を確認し、併記期間を延ばすか判断
自分で確認し続けるのが大変なときの選択肢

ここまでの確認は、無料のツールだけで行えます。ただ、検索候補は日によって変わりますし、新社名と旧社名、さらに表記ゆれの組み合わせを毎週調べるのは、忙しい経営者や店舗オーナーには負担になりがちです。
検索候補を毎日自動でチェックしたい場合は、運営元でも提供している検索候補の監視ツール「AccessSuggest」が選択肢のひとつです。Google・Bing・Yahoo!の候補を記録し、変化があったときに気づけます。使うかどうかにかかわらず、手動の確認手順は上記のとおりなので、まずは無料の範囲で試してみてください。監視の方法の比較はサジェストの監視方法にあります。
また、候補に不安を呼ぶ言葉が出てしまった場合の相談先として、成果報酬型のプランもあるサジェスト汚染対策サービスもあります。状況によって適した対処は異なるため、あくまで選択肢のひとつとしてご検討ください。
よくある質問
Q. 社名変更のお知らせは、いつ出すのが適切ですか?
変更日の1〜2週間前に事前告知を出し、変更日当日にお知らせページを正式版に差し替える流れが一般的です。事前告知の段階では旧社名のままで、変更日を明記します。サイトのドメインを変える場合は、変更日当日に301転送を有効にします。
Q. 旧社名の検索候補を消したほうがよいですか?
社名変更に関する自然な候補であれば、消す必要はありません。むしろ、旧社名で調べた人が新社名にたどり着ける導線になっています。不安を呼ぶ言葉が並ぶ場合に限って、原因となるページの確認や相談を検討してください。
Q. 新社名で検索しても自社サイトが上位に出ません。どうすればよいですか?
社名変更直後は、検索エンジンが新しい社名と自社サイトを結び付けるまでに時間がかかります。まずは301転送、お知らせページ、会社概要、ビジネスプロフィールの名称がそろっているかを確認し、変化は数週間から数か月の単位で見てください。
まとめ
社名変更のお知らせは、「旧社名を検索した人を新社名へつなぐ」ための作業です。併記期間を決め、固定のお知らせページを1枚つくり、旧サイトは301転送でページごとにつなぎ、検索結果・地図・ナレッジパネルの名称をそろえる。この順番で進めれば、旧社名の検索が残る期間も、評判を引き継いだまま乗り切れます。変更後3か月は、新社名と旧社名の両方で検索結果を見て、候補の変化にも注意しておきましょう。
あわせて読みたい関連記事
- 風評監視のキーワードの選び方|登録すべき7分類と優先順位のつけ方
- Googleのナレッジパネルを修正する手順|会社名・お店情報の誤情報を直す方法
- ブランドを検索で守る方法|指名検索の見え方を整える3つの手順
- 社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処|4つの原因と直し方
- 会社概要・運営者情報の充実が信頼につながる理由|風評リスクを下げる書き方
- サジェストの監視方法|手動・スプレッドシート・ツールの3通りを比較
毎日”自動チェック”
クレジットカード不要・登録1分。まずは無料プランで、
自社名にどんな候補が出ているか確かめてみませんか?
