求人への応募が急に減ったとき、原因は求人票や掲載媒体だけとは限りません。応募を検討した人が「会社名」で検索し、そこで見えた情報に不安を覚えて離脱している可能性があります。この記事では、採用の応募が減った原因がネット上の検索結果にあるかどうかを、自分で確かめる手順から順に解説します。
採用の応募が減った原因を「求人票の外」にも探す
応募数が落ちたとき、多くの会社がまず見直すのは求人票の文面や給与条件、掲載プランです。もちろんそれらは重要ですが、求人票を変えても応募が戻らないケースがあります。そのとき見落とされがちなのが、求人票を読んだ「あと」に起きていることです。
応募は「読んだ瞬間」ではなく「調べたあと」に決まる
求人媒体で気になる求人を見つけた人が、その場ですぐ応募ボタンを押すことはあまりありません。多くの人は一度立ち止まり、会社名を検索して「どんな会社なのか」を確かめます。転職はその人にとって生活が変わる決断なので、慎重になるのは自然なことです。
つまり応募までの流れは、求人票を読む → 会社名で検索する → 納得できたら応募するという3段階になっています。求人票が良くても、2段階目でつまずけば応募には至りません。応募が減った原因を求人票の中だけで探していると、この2段階目の問題に永遠に気づけないままになります。
「応募数」だけを見ていると原因がわからない
求人媒体の管理画面では、閲覧数(求人を見た人の数)と応募数が分かることが多いはずです。ここで確認したいのは、閲覧数は落ちていないのに応募数だけが落ちていないかという点です。
- 閲覧数も応募数も減った…求人票のタイトルや掲載順位、媒体側の問題である可能性が高い
- 閲覧数は変わらず応募数だけ減った…求人票を読んだあとの離脱、つまり「調べた結果」が原因である可能性がある
後者のパターンだった場合、この記事の続きが役に立ちます。
求職者は応募前に会社名で何を見ているのか
応募を迷っている人が会社名を検索したとき、画面には自社サイトだけが並ぶわけではありません。検索結果は、会社が用意した情報と、第三者が書いた情報が混ざった状態で表示されます。
検索候補(サジェスト)
サジェストとは、検索窓に文字を入力した時点で下に出てくる検索候補のことです。「〇〇工業」と打った瞬間に「〇〇工業 評判」「〇〇工業 やばい」といった候補が並ぶと、まだ何も読んでいないのに不安の種を植え付けられます。
厄介なのは、サジェストが本文を読む前に目に入ることです。求職者は「やばい」という候補を見た瞬間、無意識にその言葉をクリックして確認したくなります。応募検討の入口が、いきなりネガティブな方向に誘導されてしまうわけです。サジェストの仕組みについてはサジェスト(検索候補)とは?仕組みと、企業が気にすべき理由で詳しく整理しています。
口コミサイト・退職者の書き込み
会社名で検索すると、社員クチコミサイトのページが上位に出てくることがあります。書き込みの件数が少ない中小企業ほど、たった1〜2件の否定的な投稿がその会社の「評価」のように見えてしまいます。件数が少ないぶん、平均点も1件で大きく動きます。
情報が「ない」ことも不安材料になる
意外に見落とされるのが、ネガティブな情報ではなく情報そのものが少ないケースです。会社名で検索しても、自社サイトのトップページと求人媒体の掲載ページしか出てこない。社員の顔も、仕事の様子も、最近の動きも分からない。求職者から見ると「実態のよく分からない会社」に映ります。
自社の「応募前検索」を再現する手順
推測で議論しても仕方がないので、求職者と同じ画面を実際に見てみます。10分ほどでできます。
手順1:シークレットウィンドウを開く
普段使っているブラウザで自社名を検索しても、過去の閲覧履歴の影響で「自社にとって見慣れた結果」が出やすくなります。シークレットウィンドウ(Chromeなら Ctrl+Shift+N、Macは ⌘+Shift+N)を使い、ログアウトに近い状態で検索してください。
手順2:会社名を「途中まで」入力する
Enterを押さず、会社名を入力した状態で止めます。ここで出てくる候補が、求職者が最初に目にするサジェストです。会社名のうしろに半角スペースを入れると、さらに候補が増えます。出てきた候補は、あとで比較できるようスクリーンショットか一覧メモに残しておきます。
手順3:スマホでも同じことをする
求職者の多くはスマートフォンで求人を見ています。スマホの画面はパソコンより表示領域が狭く、サジェストや上位数件の占める割合が大きくなります。パソコンでは気にならなかった候補が、スマホでは画面の半分を占めていた、ということもあります。
具体的な確認手順はサジェストの調べ方|自社名の検索候補を自分で調べる3エンジン手順にまとめてあります。Google以外の検索エンジンでの見え方も一緒に確認できます。
応募数の変化と検索結果の変化を突き合わせる
検索結果に気になる点が見つかっても、それが本当に応募減の原因かどうかは、単独では判断できません。時期の重なりを確認します。
3つの数字を月単位で並べる
表計算ソフトに、月ごとの「求人閲覧数」「応募数」「応募率(応募数÷閲覧数)」を12か月分並べます。そのうえで、応募率が落ちた月を特定します。次に、その前後に何が起きていたかを書き足していきます。
- 口コミサイトに新しい投稿が付いていないか(投稿日は多くのサイトで表示されます)
- SNSで会社名に触れた投稿が増えていないか
- 取引や施策に関する外部の記事・掲示板の書き込みが出ていないか
季節要因・媒体要因を先に除外する
採用市場には季節性があります。年度末や連休前後は動きが鈍くなりますし、媒体側の掲載枠やアルゴリズムが変われば表示回数も動きます。前年同月と比べて落ちているかを見れば、季節要因かどうかはある程度切り分けられます。前年同月比でも落ちているなら、外的要因ではない何かが起きている可能性が高くなります。
検索結果が原因だったときに、自社でできること
原因の見当がついたら、手を打てるところから順に進めます。すべてを一度にやる必要はありません。
採用ページを「検索されたあと」の受け皿にする
求職者が会社名で検索してたどり着く先が、事業内容だけのコーポレートサイトのままだと、疑問には答えられません。採用ページに、実際に働いている人の1日の流れ、入社1〜3年目の社員のコメント、残業や休日の実態、教育の進め方といった「聞きにくいこと」を先回りして書いておきます。
ネガティブな情報を打ち消そうとするより、判断材料を増やすという発想のほうが効果的です。求職者は完璧な会社を探しているのではなく、納得できる材料を探しています。
会社概要・運営者情報を整える
所在地、設立年、代表者名、事業内容、取引先の業種、有資格者数といった基本情報が明記されているかを確認します。これらが揃っているだけで「実態が分からない会社」という不安は大きく減ります。地味ですが、費用をかけずにできる対策です。
口コミへの向き合い方を決めておく
否定的な口コミを見つけると反論したくなりますが、感情的な返信は状況を悪化させることが多いものです。返信するかしないか、誰が判断するか、どんなトーンで書くかを、平時のうちに社内ルールとして決めておきます。指摘の内容に事実が含まれるなら、職場環境そのものを直すほうが、長い目で見て採用にも効きます。
より広い視点での進め方は中小企業のネット風評被害対策|最初にやる5つのこともあわせてご覧ください。
サジェストが原因だと分かったときの現実的な進め方
サジェストに気になる候補が出ている場合、まず知っておきたいのは、検索候補は自動的に生成されるもので、会社側が自由に書き換えられるものではないという点です。そのうえで取れる選択肢はいくつかあります。
検索エンジンの窓口に申し立てる
各検索エンジンには、不適切な検索候補についての報告窓口があります。ポリシーに反すると判断されれば対応される場合がありますが、判断は検索エンジン側が行うため、結果は事前には分かりません。それでも、費用をかけずに試せる最初の一手です。
元になっている情報のほうに目を向ける
サジェストは、そのキーワードで検索する人が一定数いるから表示されます。裏を返せば、その言葉で検索させている元の情報源(掲示板の書き込み、SNSの投稿、まとめ記事など)が別に存在することが多いということです。元の情報が落ち着けば、検索する人も減っていきます。
外部に相談する場合
自社での対応が難しいと感じた場合、専門の事業者に相談するという選択肢もあります。当サイトの運営元でもサジェスト汚染対策のサービスを提供しており、成果報酬型のプランを用意しています。相談先を検討する際は、費用の発生条件と作業内容の説明が明確かどうかを必ず確認してください。
検索結果のチェックを採用活動の定例業務にする
一度確認して問題がなくても、検索結果は変わり続けます。応募が減ってから慌てて調べるのではなく、変化に気づける仕組みを作っておくほうが負担は軽くなります。
採用担当が見るべきキーワード
会社名単体だけでなく、採用文脈で検索されやすい組み合わせも確認します。
- 会社名 + 評判 / 口コミ
- 会社名 + 求人 / 採用 / 中途
- 会社名 + 離職率 / 残業 / 年収
- 会社名 + 社長名(代表者名で検索する人も一定数います)
- 屋号・ブランド名が社名と別なら、そちらも同様に
月1回、記録を残す形で確認する
手動でやるなら、月初に上のキーワードを一通り検索し、スプレッドシートに候補を貼り付けていく方法で十分です。大事なのは「今どうか」より「先月から何が変わったか」なので、記録として残ることに意味があります。
ただし、キーワードが10個を超えたあたりから手作業は続きにくくなります。担当者が変わると引き継がれず止まってしまうことも多いものです。AccessSuggestは、登録したキーワードのサジェストをGoogle・Bing・Yahoo!で毎日自動チェックし、新しい候補が出たときにメールで知らせる仕組みです。日々の確認を人の記憶に頼らずに続けたい場合の選択肢として検討してみてください。
よくある質問
求人媒体を変えれば解決しますか?
媒体を変えれば求人を見る人の層は変わりますが、応募前に会社名で検索するという行動そのものは変わりません。閲覧数は増えても応募率が改善しないなら、検索結果側に原因が残っている可能性があります。媒体の見直しと並行して、検索結果の確認も行うのが現実的です。
サジェストに出ている言葉は、放っておけば消えますか?
検索する人が減れば表示されなくなることはありますが、いつどうなるかを事前に見通すことはできません。話題が繰り返し蒸し返されれば、しばらく残ることもあります。放置するかどうかを判断するためにも、まずは変化を記録しておくことをおすすめします。
社員数が少ない会社でも口コミサイトは影響しますか?
むしろ影響は大きくなりやすいと考えられます。投稿件数が少ないぶん、1件の内容がそのまま会社全体の印象として読まれてしまうためです。同時に、自社発信の情報を増やすことで印象が変わりやすいのも小規模な会社の特徴です。
まとめ
採用の応募が減った原因は、求人票の中だけにあるとは限りません。閲覧数が変わらないのに応募だけが減っているなら、求人票を読んだ人が会社名で検索し、そこで見た内容によって離脱している可能性があります。
- 閲覧数と応募数を分けて見て、応募率が落ちた時期を特定する
- シークレットウィンドウとスマホで、求職者と同じ検索画面を再現する
- サジェスト・口コミ・情報の少なさの3点を確認する
- 採用ページと会社概要を整え、判断材料を増やす
- 検索結果のチェックを月次の定例業務にする
まずは今日、シークレットウィンドウで自社名を検索してみてください。10分で分かることが、次の求人の成果を左右するかもしれません。
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