会社の評判は、ネットでかなりのところまで調べられます。社名で検索するだけで、公式サイト、口コミサイト、転職クチコミ、SNSの投稿、そして検索窓に出る「候補ワード」まで、ひととおり目に入ってしまうからです。
問題は、それを見ているのが自社ではなく取引先・応募者・お客様だという点です。この記事では、社外の人が実際にどこを見ているのか、そして自社の見え方を自分で確認する手順を、専門知識なしでできる形で整理します。
会社の評判はネットでどこまで調べられるのか
「うちみたいな小さい会社は、そもそも情報が出ていないだろう」と考える経営者の方は少なくありません。ですが実際には、自社が発信していない情報のほうが多く出ているケースがあります。
検索1回で出てくる情報の範囲
社名をひとつ検索するだけで、通常は次のような情報が同じ画面に並びます。
- 公式サイト・採用ページ
- 法人番号や登記情報をまとめた企業データベースサイト
- 求人サイトに掲載された過去の募集要項
- 転職・就職のクチコミサイトに書かれた社員・元社員の投稿
- Googleビジネスプロフィールの星評価とレビュー
- SNSや個人ブログでの言及
- 検索窓に自動で出てくるサジェスト(検索候補。検索窓に文字を入れたとき下に表示される候補ワードのこと)
このうち自社でコントロールできるのは、実質的に公式サイトと採用ページくらいです。残りは第三者が作った情報で、しかも検索結果では公式サイトのすぐ下に並びます。
「調べられる側」が見落としがちな点
自社の名前を毎日タイプしていると、ブラウザの履歴やログイン状態の影響で、自分だけ公式サイトが上に出る状態になりがちです。社外の人が見ている画面とは違うものを見ている、というのが最初の落とし穴です。
もうひとつは、検索結果の本文だけを見て安心してしまうこと。実際にはクリックする前の段階、つまり検索窓に並ぶ候補ワードの時点で印象が決まってしまうことがあります。
取引先はあなたの会社の何を検索しているか|見られている5つの場所
新規取引の前、あるいは面接の前に社名を検索する行為は、いまや特別なことではありません。実際に見られている場所を、影響の大きい順に整理します。
① 社名の検索結果1ページ目
もっとも見られるのがここです。1ページ目に公式サイト以外のページ、たとえばクチコミサイトやまとめサイトが上位に混ざっていると、そちらを先に読まれることがあります。とくに社名の下に表示される説明文(スニペット)にネガティブな一文が抜き出されていると、クリックされる前に印象が固まります。なお、1ページ目に自社サイトが出てこない場合の原因と直し方は社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処にまとめています。
② サジェストと関連検索
「〇〇工業 評判」「〇〇商事 やばい」のような候補が社名の後ろに並ぶことがあります。本人にその気がなくても、候補が出ているだけで「何かあるのでは」と受け取られやすい場所です。検索結果の一番下に出る「関連する検索キーワード」も同じ役割を持ちます。
候補ワードがどう決まるのかについては、サジェストの決まり方と仕組みで詳しく解説しています。
③ 口コミ・レビューサイト
店舗や来店型のビジネスであれば、Googleマップの星評価とレビューが実質的な看板になります。BtoBでも、業界特化のレビューサイトや比較サイトに古い情報が残っていることがあります。書き込みへの向き合い方は口コミサイトの悪い書き込みへの対応で、放置すべきケースと反論すべきケースを整理しています。
④ 求人・転職のクチコミサイト
採用の場面では、応募者はほぼ確実にここを見ます。数年前に退職した社員の投稿が、いまも社名検索の上位に残っていることは珍しくありません。内容の当否より、「新しい情報が上に出ていない」ことのほうが問題になりやすい領域です。検索結果が応募数にどう効いてくるかは採用の応募が減った原因はネットにある?で詳しく触れています。
⑤ SNSと個人ブログ
SNSの投稿は検索結果に出たり出なかったりしますが、社名で検索されるとSNS内の検索でも同じ言葉が引かれます。個人ブログの体験談も、記事が1本しかなくても社名の検索需要が小さい会社ほど上位に出やすくなります。
なぜ「評判の下調べ」が当たり前になったのか
与信も採用も、まず検索から始まる
取引の前に相手を調べるという行為自体は昔からありました。変わったのは、その入口が信用調査会社の報告書ではなく、スマートフォンの検索窓になったことです。数十秒で終わり、費用もかからないため、担当者レベルで気軽に行われます。
採用でも同じです。応募先を決める前に社名を検索するのは、いまや応募者側の標準的な行動になっています。
見られているのは「悪い情報」だけではない
誤解されやすいのですが、検索する側はスキャンダルを探しているわけではありません。多くの場合、確認したいのは「実在していて、まともに事業をしていること」です。
そのため、悪い情報がないことよりも、会社概要・実績・代表者情報が新しく整っているかのほうが判断を左右します。情報が古いまま止まっている状態は、それ自体がひとつのマイナス材料になります。整え方の具体例は会社概要・運営者情報の充実が信頼につながる理由で解説しています。
自社の見え方を自分で確認する手順
ここからは実際の作業です。特別なツールはいりません。10分あればひととおり終わります。
手順1 シークレットウィンドウで社名を検索する
ブラウザで「シークレットウィンドウ」(Chromeの場合。Edgeでは「InPrivate」、Safariでは「プライベートブラウズ」)を開きます。ログイン状態や検索履歴の影響を受けない状態で見るためです。
そこで社名だけを検索し、1ページ目に何が並んでいるかをスクリーンショットで残します。日付を入れたフォルダに保存しておくと、後から比較できます。
手順2 サジェストと関連検索を控える
検索窓に社名を入れ、そのあとに半角スペースを1つ入れて待ちます。このとき出てくる候補が、社名と一緒に検索されている言葉です。「あ」「か」「さ」と五十音を順に足していくと、さらに多くの候補を洗い出せます。
検索結果ページの最下部にある「関連する検索キーワード」もあわせて控えます。具体的な進め方はサジェストの調べ方|自社名の検索候補を自分で調べる3エンジン手順にまとめています。
手順3 3つの検索エンジンで見比べる
Googleだけで判断しないことが重要です。Bing、Yahoo!でも同じ手順を繰り返します。エンジンごとに候補の出方は異なり、Googleでは出ていない候補がBingだけに出ている、ということが実際に起こります。
スマートフォンとパソコンでも表示が変わるため、可能なら両方で確認しておくと安心です。一連の確認作業を仕組みとして回したい場合は会社のエゴサーチのやり方が参考になります。
気になる情報が見つかったときの考え方
まず事実かどうかを切り分ける
見つかった情報は、次の3つに仕分けます。
- 事実で、すでに改善済みのこと(過去の労働条件など)
- 事実だが、書かれ方が一面的なもの
- 事実に反するもの
1と2は、削除を目指すより自社発信で現在の状況を出すほうが早く効きます。3は対応の性質が変わるため、記録を残したうえで専門家への相談を検討する段階に入ります。
放置してよいもの・動くべきもの
判断の目安は、取引や応募の意思決定に触れる位置にあるかどうかです。検索結果の3ページ目にある古い書き込みは、実務上ほとんど読まれません。一方、社名を入れた瞬間に出る候補ワードや1ページ目の上位は、ほぼ全員の目に入ります。
限られた時間を使うなら、まず「必ず見られる場所」から手を付けるのが合理的です。より広い対策の順序は中小企業のネット風評被害対策|最初にやる5つのことで解説しています。
継続的に見張る仕組みをつくる
手動でやるなら月1回・キーワード5個から
一度確認して終わりにすると、変化に気づけません。現実的なのは、社名・社名+サービス名・代表者名など5個程度をリスト化し、月に1回、決まった日に同じ手順で見る運用です。スプレッドシートに日付と候補ワードを記録しておけば、変化そのものが見えるようになります。
担当者を決めないと必ず止まるので、「毎月1日、総務が15分」といった形で業務に埋め込むのがコツです。
続かないなら自動化を検討する
手動チェックは、忙しい時期に真っ先に飛ぶ業務です。3か月続かなかったという声はよく聞きます。その場合は、毎日自動で候補ワードを取得して、変化があったときだけ通知が届く仕組みに切り替えたほうが現実的です。
AccessSuggestは、Google・Bing・Yahoo!の検索候補を毎日自動で取得し、新しい候補が出たときにメールでお知らせするツールです。無料プランがあるので、まず自社名を1つ登録して様子を見る、という使い方ができます。監視方法の比較はサジェストの監視方法|手動・スプレッドシート・ツールの3通りを比較もご覧ください。
よくある質問
取引先が自社を検索したかどうかは分かりますか?
個別に誰が検索したかは分かりません。ただし、Googleサーチコンソールを自社サイトに設定していれば、「社名で何回検索されて、何回クリックされたか」という全体の数は確認できます。商談が増えた時期に社名検索が伸びる、といった傾向は読み取れます。
クチコミサイトの古い投稿は消せますか?
各サイトの利用規約に沿った削除依頼の窓口が用意されている場合があります。ただし対応するかどうかはサイト側の判断で、必ず削除されるものではありません。並行して、自社サイトの採用ページや会社概要を最新化し、新しい情報が上位に出る状態をつくるほうが確実です。
小さな会社でも監視は必要ですか?
むしろ規模が小さいほど影響が出やすい面があります。社名の検索数が少ない会社ほど、たった1件の書き込みや候補ワードが目立つ位置に居座りやすいためです。月1回の確認だけでも、気づくタイミングは大きく変わります。
まとめ
会社の評判は、ネットで想像以上に調べられます。取引先や応募者が見ているのは、検索結果1ページ目、サジェスト、口コミサイト、転職クチコミ、SNSの5か所です。
- まずシークレットウィンドウで社名を検索し、他人と同じ画面を見る
- 社名+半角スペースで出る候補ワードを控える
- Google・Bing・Yahoo!の3つで見比べる
- 見つかった情報は「事実か」「意思決定に触れる位置か」で仕分ける
- 月1回の確認を仕組み化し、続かないなら自動化する
やることは多くありません。まずは今日、シークレットウィンドウで自社名を検索してみるところから始めてください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
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