結論から言うと、プレスリリースは中小企業でも効果があります。ただしその効果は「テレビや新聞に取り上げられること」ではなく、自社名で検索されたときに、自分たちが書いた情報を検索結果に増やせることにあります。取引先や求職者があなたの会社を調べたとき、目に入るのが第三者の書き込みばかりか、自社発信の情報かで印象は大きく変わります。
この記事では、中小企業がプレスリリースに期待できる効果と、費用をかけずに自社発信を積み上げる具体的な手順を解説します。風評対策全体の進め方を先に押さえたい方は、中小企業のネット風評被害対策|最初にやる5つのこともあわせてご覧ください。
プレスリリースの効果は中小企業にもあるのか
プレスリリースとは、企業が新商品・新サービス・人事・イベントなどの情報を、報道機関や一般向けに公式に発表する文書のことです。近年は配信サービスを通じてWeb上に掲載されるケースが主流になっています。
「メディア掲載」以外にも効果はある
プレスリリースというと「記者に取り上げてもらうもの」というイメージが強く、そのため「うちのような小さな会社が出しても意味がない」と考える経営者は少なくありません。しかし実際には、メディアに取り上げられなかったとしても、次の3つは残ります。
- 配信サービス上に、自社名の入った公式ページが1本増える
- そのページが検索エンジンにインデックス(登録)され、社名検索でヒットする可能性が生まれる
- 取引先や求職者に「この会社は活動している」と伝わる客観的な材料になる
つまりプレスリリースは、広報活動であると同時に検索結果を自社の情報で満たしていく作業でもあるということです。
大企業と中小企業では、狙う効果が違う
大企業のプレスリリースは、そもそも注目度が高いため「どれだけ多くのメディアに転載されたか」が指標になります。一方で中小企業の場合、社名の検索回数そのものが多くありません。だからこそ少ない検索回数のなかで、何が表示されるかが重要になります。月に数十回しか検索されない社名でも、その数十回が取引先の決裁者や、応募を迷っている求職者かもしれないからです。
なぜ自社発信が検索結果の見え方を変えるのか
社名で検索したときに出てくるページは、放っておくと「自社以外の誰かが作ったページ」で埋まっていきます。求人サイトの募集ページ、企業データベース、口コミサイト、まとめサイト。これらは自社でコントロールできません。
検索結果は「他人が書いた情報」で埋まりやすい
取引先や求職者が実際にどこを見ているかは、会社の評判はネットでどこまで調べられる?取引先が見ている5つの場所で整理しています。ここでは架空の「山川工業株式会社」を例に考えてみます。自社サイトが1本あるだけの状態では、社名検索の1ページ目は自社サイトのトップページと、あとは企業情報サイトや求人サイトの自動生成ページで占められます。そこに1つでもネガティブな話題を扱うページが混ざると、相対的に大きく目立ってしまいます。
社名検索で自社サイトが上位に出ない場合の原因については、社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処で詳しく解説しています。
自社発信は「数」を積むほど効く
自社が発信するページが1本、3本、10本と増えていくと、社名検索の1ページ目に自社由来の情報が並ぶ確率が上がります。これは特別なテクニックではなく、単純に「その社名について書かれた信頼性の高いページが増える」ことによる自然な結果です。プレスリリースは、その1本を比較的手早く増やせる手段のひとつです。
ここで大切なのは、順位を無理に操作しようとするのではなく、正しい情報を継続的に出し続けるという発想です。この考え方はブランドを検索で守る方法でも中心に据えています。逆に、ネガティブな記事を人為的に押し下げようとする手法の限界についてはネガティブな記事の順位を下げるには?逆SEOの効果で解説しています。
プレスリリースで中小企業が狙える3つの効果
効果1:社名検索の結果に自社由来のページが増える
配信サービスに掲載されたリリースは、それ自体が1本のWebページとして検索対象になります。加えて、提携メディアに転載されればページ数はさらに増えます。1回のリリースで複数のページが生まれるのが、プレスリリースの特徴です。
効果2:前向きな話題が検索候補に入る余地が生まれる
検索候補(サジェスト)は、実際に検索された語の組み合わせをもとに表示されます。「社名+新商品名」「社名+採用」のように前向きな文脈で検索される機会が増えれば、そうした語が候補に入る可能性も出てきます。ただしこれは検索候補を意図的に操作するものではなく、あくまで自然な結果として起こりうることだと理解しておいてください。特定の候補を確実に出したり消したりできるわけではありません。仕組みそのものはサジェストの決まり方と仕組み|Googleの検索候補が表示される4つの要因で詳しく扱っています。
効果3:調べた人が安心できる材料になる
取引前に会社を調べる担当者にとって、直近のリリースがあることは「今も活動している会社だ」という判断材料になります。求職者にとっても同じです。会社概要ページの整備と合わせると効果が高く、こちらは会社概要・運営者情報の充実が信頼につながる理由で扱っています。
中小企業が出せるプレスリリースのネタの探し方
「発表するようなニュースがない」というのが、中小企業がリリースを出さない最大の理由です。しかし多くの場合、ネタがないのではなく社内では当たり前になっている出来事をニュースとして認識していないだけです。
ネタは「業界初」でなくてよい
報道価値の大きさとは別に、「自社について公式に記録を残す」という目的なら、次のような日常的な出来事でも十分にリリースの題材になります。
- 新しい商品・サービス・メニューの提供開始
- 営業所・店舗の開設、移転、リニューアル
- 設備の導入、工場ラインの増設
- 取引先との業務提携、共同開発
- 資格取得、認証取得(ISO、各種認定など)
- 地域イベントへの協賛、清掃活動などの地域貢献
- 採用の開始、インターン受け入れ、社内制度の新設
- 創業◯周年、累計実績◯件の達成
1年分のネタを先に棚卸ししておく
架空の「山川工業株式会社」の場合、年間予定を並べるだけで「4月に新卒受け入れ」「7月に新設備の稼働」「10月に地域の祭りへ協賛」「1月に創業50周年」と、すぐに4本のネタが見つかります。年に3〜4本でも、3年続ければ10本以上の公式ページが積み上がります。思いついたときに出すのではなく、年間カレンダーに落としておくのが続けるコツです。
費用をかけずに自社発信を始める手順
プレスリリース配信サービスには有料のものが多いですが、無料枠のあるサービスもあります。まずはお金をかけずにできるところから始めるのが現実的です。
ステップ1:自社サイトに「お知らせ」欄を作る
最優先はここです。外部サービスに出す前に、自社サイト内に日付入りのお知らせページを作ります。自社ドメインのページは自分でコントロールでき、社名検索でも比較的上位に出やすいためです。1件ごとに個別ページ(URL)が発行される形にしておきましょう。
ステップ2:配信サービスに同じ内容を出す
自社サイトに載せた内容をもとに、プレスリリース配信サービスへ登録します。書式は「タイトル・リード文・本文・会社概要・問い合わせ先」の順が基本です。タイトルには必ず社名を入れてください。社名が入っていないと、社名検索での表示につながりにくくなります。
ステップ3:出したあとに検索結果を確認する
配信から数日〜数週間後に、社名で検索して掲載ページが表示されるか確認します。同時に検索候補の変化も見ておくとよいでしょう。確認手順はサジェストの調べ方|自社名の検索候補を自分で調べる3エンジン手順にまとめています。
プレスリリースの効果をどう測るか
見るべき指標は3つ
中小企業がリリースの効果を測るなら、次の3点を四半期ごとに記録するだけで十分です。
- 社名検索の1ページ目に、自社由来のページが何本あるか(自社サイト+リリース掲載ページ+SNS公式アカウント)
- 社名検索の検索候補にどんな語が並んでいるか(前回の記録と比べて変化があるか)
- 自社サイトへの流入のうち、社名検索経由がどれだけあるか(Google Search Consoleで確認できます)
記録がないと「変わったかどうか」が分からない
検索候補を継続的に記録する具体的な方法は、サジェストの監視方法|手動・スプレッドシート・ツールの3通りを比較にまとめています。効果測定でいちばん多い失敗は、施策を始める前の状態を記録していないことです。最初のリリースを出す前に、社名検索の1ページ目のスクリーンショットと、検索候補の一覧を保存しておいてください。あとから比較できるだけで、判断の質が変わります。
やってはいけない3つのこと
事実と違うことを書かない
「業界初」「日本一」といった表現は、根拠を示せない場合は使わないでください。景品表示法上の問題になり得るだけでなく、後から指摘されればかえって評判を落とします。数字を出すなら、集計方法と期間を併記します。
同じ内容を何度も出さない
ページ数を増やしたいからといって、内容がほとんど同じリリースを繰り返し配信するのは逆効果です。検索エンジンからは重複した内容とみなされやすく、配信サービス側の掲載基準に触れることもあります。本数より、1本ごとの中身です。
ネガティブな話題への反論の場にしない
ネット上の書き込みに反論する目的でリリースを出すと、かえってその話題を広げてしまうことがあります。公式に説明が必要な場面はありますが、その場合は自社サイトのお知らせとして淡々と事実を掲載するほうが安全です。判断に迷う場面は口コミサイトの悪い書き込みへの対応を参考にしてください。
よくある質問
プレスリリースを出せば、悪い検索候補は消えますか?
消えるとは言えません。検索候補は検索エンジン側のアルゴリズムで自動的に決まるもので、発信を増やしたからといって特定の候補が消える保証はありません。プレスリリースは「悪いものを消す」施策ではなく、「良い情報を増やして、調べた人が見る全体像を変える」施策だと考えてください。
年に何本くらい出せばよいですか?
決まった正解はありませんが、無理なく続けられる本数がよいです。年に3〜4本でも、自社サイトのお知らせ更新と組み合わせれば十分に積み上がります。1年だけ大量に出して止めるより、少なくても続いているほうが会社の状態を正しく伝えられます。
費用をかけて有料の配信サービスを使う価値はありますか?
提携メディアへの転載数や、記者への到達範囲が変わるため、掲載ページ数を増やしたい場合には意味があります。ただし最初から有料前提で考える必要はありません。まず自社サイトのお知らせを整え、無料枠のあるサービスで手応えを確かめてから検討しても遅くありません。
まとめ
プレスリリースの効果を中小企業の視点で整理すると、次のようになります。
- メディア掲載がゴールではなく、社名検索の結果に自社由来のページを増やすことが実利になる
- ネタは「業界初」でなくてよい。設備導入や地域貢献、周年など日常の出来事で十分
- まず自社サイトのお知らせ欄を整え、そのうえで配信サービスに出す順番が効率的
- 出す前の検索結果と検索候補を記録しておくと、効果を比較できる
- 事実と違う表現、内容の重複、反論目的の配信は避ける
自社発信を積み上げていくとき、その効果が実際に検索結果へ表れているかを定期的に見ておくと判断がしやすくなります。検索候補の変化を毎日自動で記録したい場合は、AccessSuggestの無料プランから試せます。
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