社名で検索したときに「ブラック企業 口コミ」「会社名 ブラック」といった候補が出ても、それは事実の判定ではありません。ただ、求職者はその語を見て「確かめたい」と思って検索します。答えるべきなのは削除の可否より、求職者が知りたい情報を採用ページで先に示すことです。
この記事では、サジェスト(検索候補)の監視に携わる立場から、「ブラック」という語を見た求職者の行動と、採用ページに置くべき項目、確認の手順を整理します。
社名に「ブラック」と出たとき、求職者が確かめていること

応募を考えている人は、社名を検索窓に入れたとき、候補に「ブラック」と出ると気になって押してみます。この「確かめる行動」は、悪意のある噂を信じたからではなく、入社後の後悔を避けたいから起こります。
見ているのは「事実かどうか」より「自分に当てはまるか」
求職者が知りたいのは、おおむね次の3点です。残業や休日の実態、辞める人が多いのか、評価や昇給の決まり方です。検索結果に出てくる口コミサイトは、投稿者が少数で偏りやすいことを求職者も知っています。そのため、会社自身が数字と仕組みで答えているかが信頼の分かれ目になります。
検索候補は「多く検索された語」にすぎない
検索候補は、検索された回数などから機械的に決まります(仕組みはサジェストの決まり方と仕組みで解説しています)。候補に出ること自体は、会社の実態の証明ではありません。一般的な「候補は事実ではない」という考え方は会社名を検索したら変な候補が出るにまとめたので、この記事では「求職者の確認行動に答える」ことに絞ります。
まず自社名の検索結果を確認する手順

対策の前に、求職者が実際に見ている画面を自分の目で確かめます。次の順で15分ほどあれば終わります。
- シークレットウィンドウを開き、社名だけを入力して候補を記録する(スクリーンショットを日付つきで保存)
- 「社名 ブラック」「社名 評判」「社名 口コミ」と入力し、検索結果の1ページ目に何が並ぶか確認する
- 1ページ目に自社の採用ページ・公式サイトが何件あるか、口コミサイトが何件あるかを数える
- Googleだけでなく、BingとYahoo!でも同じ確認をする
Google・Bing・Yahoo!での調べ方はサジェストの調べ方に手順をまとめています。結果が人によって違って見える理由もあるので、1回の確認で断定せず、複数日に分けて記録するのが安全です。
採用ページで答える項目① 残業・休日・休暇

「ブラック」の語で最も確かめられるのは、働く時間と休みです。採用ページには、次のように実績の数字と、その前提をセットで書きます。
- 月平均の所定外労働時間(部署や繁忙期で差があるなら、その旨も書く)
- 年間休日の日数と、有給休暇の平均取得日数
- 残業の申請・管理の方法(誰が、どう把握しているか)
- 繁忙期がある業種なら、いつ・どの程度忙しくなるか
数字が良くない場合でも、隠すより「現状はこうで、こう改善している」と書くほうが、読んだ人の不信感は小さくなります。実績のない数字や、集計していない「ほとんど残業なし」といった曖昧な言い方は避けてください。
採用ページで答える項目② 離職・定着・評価制度・研修

離職と定着
入社した人がどれくらい続いているかは、求職者が口コミ以外で最も知りたい情報です。直近の新卒・中途の採用人数と離職人数、平均勤続年数を示します。人数が少ない会社は、割合だけにすると極端に見えるので、人数も添えます。
評価・昇給の仕組みと研修
「評価が不透明」は不満の定番です。評価の頻度、面談の有無、昇給の決まり方、入社後の研修やメンター制度の有無を、制度として書き出します。社内の実態と合っているか、現場の社員にも見せて確認してから公開してください。
会社概要や運営者情報をあわせて整えると、企業としての実在性や透明性が伝わります。書き方は会社概要・運営者情報の充実が信頼につながる理由を参考にしてください。
「職場情報」の公的な考え方を採用ページの設計に使う

厚生労働省の資料によると、新卒者の募集を行う企業は、企業規模を問わず、職場情報を幅広く提供するよう努めることとされています。また、応募者などから求めがあった場合は、次の3つの類型ごとに1つ以上の情報を提供する義務があるとされています。
- 募集・採用に関する状況(過去3年間の新卒採用者数・離職者数、男女別の採用者数、平均勤続年数など)
- 職業能力の開発・向上に関する状況(研修、自己啓発支援、メンター制度、キャリアコンサルティング制度など)
- 企業における雇用管理に関する状況(月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得状況など)
この3類型は、そのまま採用ページの見出しに使えます。求めがあってから用意するのではなく、あらかじめ載せておけば、「ブラック」の語から訪れた人にも先に答えられます。法令上の細かい取扱いは変更されることがあるため、最新の内容は厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
口コミサイトとの関係|採用ページで答えたうえで見るべきこと

転職系の口コミサイトは「ブラック」の検索結果に出やすい場所です。個別の書き込みへの対応は、削除依頼の可否も含めて転職会議・OpenWorkの悪い口コミに企業ができる4つの対応で、求人サービスの口コミはIndeedの企業口コミを削除したいときで解説しています。反論するか放置するかの考え方は口コミサイトの悪い書き込みへの対応を見てください。
ここで大切なのは、口コミに答えるのではなく、読んだ求職者が公式の情報で確かめられる状態にしておくことです。応募数への影響の見方は採用の応募が減った原因はネットにある?にあります。
採用ページに書いてはいけない表現

- 「アットホームな職場」「風通しが良い」など、裏づけのない言葉だけで終わらせる
- 「ブラックではありません」と否定だけを書く(検索意図に答える情報にならず、かえって語を目立たせる)
- 実績のない数字や、一部の部署だけの数字を会社全体のように見せる
- 特定の口コミ投稿者や元社員を想像させる書き方
比較や評価を示すときは、いつ時点の数字か、どの範囲の数字かを必ず書きます。更新日を載せ、少なくとも年1回は見直してください。
検索候補そのものを監視し、記録を残す

候補に「ブラック」が出ているかは、日によって変わります。手作業で毎日確認するのは負担が大きいため、確認する語と頻度を決めておきます。手動・スプレッドシート・ツールの比較はサジェストの監視方法にあります。
検索候補の削除を考える場合は、サジェストの削除方法4つで、自分でできる範囲と依頼前の確認点を整理しています。削除や非表示は検索エンジン側の判断であり、必ず実現できるものではありません。相談先の選択肢のひとつとして、運営元のサジェスト汚染対策サービス(成果報酬型もあります)もあります。
よくある質問

Q. 採用ページに離職率を載せるのは不利になりませんか?
数字だけを出すと不安を与えることもありますが、何も載せない会社は、口コミだけが判断材料になります。人数・期間・改善の取り組みを添えて、確認できる情報として載せるほうが、結果として誤解は小さくなります。
Q. 候補から「ブラック」が消えれば応募は戻りますか?
戻る保証はありません。候補が消えても、口コミサイトや求職者の確認行動は残ります。公式の情報で答える取り組みと並行して、監視を続けるのが現実的です。
Q. 実際に長時間労働があるのですが、どう書けばよいですか?
事実を隠して整えた文章は、入社後の不満になり、新たな口コミの原因になります。現状の数字と、改善の予定や仕組みをそのまま書いてください。労務そのものの改善が先です。
まとめ

社名に「ブラック」と出たとき、求職者は残業・離職・評価制度を確かめています。削除を探す前に、採用ページで数字と仕組みを示し、職場情報の3類型に沿って整理することが、最も確実に応募者の疑問に答える方法です。候補の変化は毎日記録し、変化に早く気づける体制を作ってください。
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