会社名を騙るなりすましアカウント・偽サイトへの対応|確認の手順と通報先

本物のサイトと会社名を騙る偽サイトを見比べるイメージ

自社の会社名を騙るなりすましアカウントや偽サイトを見つけたら、まず「証拠を残す」「各サービスのなりすまし専用フォームから通報する」「自社の公式な場所で顧客に注意喚起する」の3つを同じ日のうちに進めてください。順番を間違えると、証拠が消えたあとに通報することになり、対応が一段むずかしくなります。

この記事では、会社がなりすましに遭ったときに自分で確認できる手順と、どこに通報すればよいのか、そして顧客に出す告知文の組み立て方までを、ITの専門家でなくても実行できる形でまとめます。

目次

なりすまし・偽サイトは「悪く書かれる」被害とは別物

書かれる被害と、名前を奪われる被害のちがい

口コミやSNSで悪く書かれる被害は、第三者が自分の意見として自社を評価している状態です。内容に事実と違う点があっても、書き手は自分の名前(またはハンドルネーム)で書いています。

一方でなりすましは、相手が自社の名前を名乗っている状態です。会社名・ロゴ・住所・代表者名までコピーされ、あたかも公式であるかのように振る舞われます。悪評は「自社の評判が下がる」被害ですが、なりすましは自社を信じた人が金銭や個人情報を失う被害に直結します。ここが決定的に違う点です。

したがって、対応の優先順位も変わります。悪評への向き合い方については口コミサイトの悪い書き込みへの対応|放置と反論、どちらが正解かで整理していますが、なりすましは「放置する」という選択肢がそもそも取りにくい、という前提で読み進めてください。

放置している間に被害者が増える

偽サイトや偽アカウントは、放置した日数がそのまま被害件数になります。「うちのような小さな会社が狙われるはずがない」と考えがちですが、なりすまし側は知名度ではなく作りやすさで標的を選びます。公式サイトの構成が単純で、SNSの公式アカウントが存在せず、会社概要の情報が薄い会社ほど、まねしやすく見分けもつきにくいのです。

自社の情報をきちんと出しておくこと自体が予防になります。会社概要・運営者情報の充実が信頼につながる理由で書いた「誰が運営しているかが一目でわかる状態」は、なりすまし対策としてもそのまま効きます。

会社名を騙るなりすましは、大きく4つのパターン

自社サイトとなりすましサイトの見分けを表すイメージ

ひとくちに「なりすまし」といっても、やられ方によって通報先も顧客への説明も変わります。自社のケースがどれに当たるかを先に決めてください。

①偽の通販サイト・偽の公式サイト

自社サイトの文章・写真・ロゴをそのままコピーし、ドメイン(インターネット上の住所にあたる文字列)だけを似たものに差し替えたサイトです。たとえば正規が example.co.jp なら、偽サイトは example-shop.comexarnple.co.jp(l と rn の入れ替え)のような紛らわしい文字列を使います。

通販機能を持つ会社の場合、入金だけさせて商品を送らない形が典型です。振込先の名義が会社名と一致しない、日本語が不自然、特定商取引法の表記が欠けている、といった手がかりで見分けられます。

②SNSのなりすましアカウント

公式のプロフィール画像と自己紹介文をコピーし、ユーザー名だけをわずかに変えたアカウントです。フォロワーに直接メッセージを送り、キャンペーン当選や支払い手続きを装って誘導する使われ方が多く見られます。

SNS内の検索候補に社名が出ている場合は、そこに偽アカウントが混ざっていないかも同時に見てください。SNS内検索の仕組みはX(旧Twitter)の検索候補に社名が出る仕組み|確認と対処の手順で解説しています。

③求人・採用を装ったなりすまし

実在しない求人を自社名義で出し、応募者から履歴書や身分証の画像を集めるパターンです。被害に気づくのが遅れやすく、気づいたときには「あの会社は個人情報の扱いが雑だ」という評判のほうが先に広がっていることがあります。採用担当者は、自社が出していない求人が転載されていないか定期的に確認してください。

④担当者個人を装ったメール・メッセージ

代表者や経理担当者の名前でメールを送り、取引先に振込先の変更を指示するタイプです。会社のサイトではなく個人の名前が狙われる点が特徴で、被害は取引先側に出ます。社内で誰がどこまで判断するかを決めておくことが最大の防御になります。この点は会社への誹謗中傷の対応|社内でまず決めておくべき5つのルールで整理したルール作りと同じ考え方で準備できます。

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自社がなりすまされていないか確認する手順

「被害の報告が来てから探す」では遅れます。次の3つを、月に一度でよいので回してください。所要時間は10分ほどです。

社名・屋号・サービス名で検索する

  1. 検索エンジンのシークレットモード(履歴の影響を受けない表示)で社名を検索する
  2. 検索結果の1ページ目に、自社が管理していないURLが出ていないか確かめる
  3. 社名に「公式」「通販」「オンラインショップ」「求人」を足した組み合わせでも同じことを繰り返す
  4. 検索窓に社名を打ち込んだ時点で出てくる候補も、その場で控えておく

ログイン状態や過去の閲覧履歴によって見え方が変わるため、必ずシークレットモードで確認します。エンジンごとの手順はサジェストの調べ方|自社名の検索候補を自分で調べる3エンジン手順にまとめてあるので、そのまま流用できます。

SNSの名前検索とアカウント一覧を見る

各SNSの検索欄に社名を入れ、アカウントのタブに絞り込んで一覧を出します。自社の公式アカウントより先に、似た名前のアカウントが並んでいないかを見てください。プロフィール画像が自社のロゴになっているものは、その場でスクリーンショットを撮ります。

似たドメインを手で打ち込んでみる

自社ドメインの前後に「-shop」「-jp」「-official」を足したもの、.com.co.jp を入れ替えたものを、ブラウザのアドレス欄に直接入力して開いてみます。無関係な広告ページが出るだけなら問題ありませんが、自社のロゴが表示された時点でなりすましが成立しています。

なお、社名で検索して自社サイトが上位に出ていない状態は、偽サイトに気づかれにくくする条件そのものです。心当たりがあれば社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処も併せて確認してください。

偽サイトを見つけたときの通報先は3方向ある

偽サイトを通報する手順の流れを表すイメージ

偽サイトの相手には連絡が通じないのが普通です。だからこそ、相手ではなく、相手に場所を貸している事業者に伝えるのが実務の基本になります。

①サイトの運営者・問い合わせ窓口

形式上は最初の一手です。ただし返答は期待しにくいので、連絡した記録を残す目的と割り切ってください。送信した日時と文面をPDFなどで保存しておきます。

②ドメイン登録会社・サーバー会社

これが最も現実的な窓口です。whois 検索(ドメインの登録情報を調べる無料の仕組み)で、そのドメインを管理している事業者を調べ、abuse(不正利用)窓口へ連絡します。連絡先は「登録会社名 abuse」で検索すると見つかります。

  • 自社の正規サイトのURLと、偽サイトのURL
  • どこがコピーされているか(ロゴ・文章・写真の該当箇所)
  • 自社が権利者であることを示すもの(登記情報、商標登録があればその番号)
  • 被害の状況(問い合わせが何件来ているか、入金被害の報告があるか)

連絡先が3方向に分かれる考え方は、まとめサイトへの対応と共通です。書き方の実例はまとめサイト・アフィリエイト記事の削除依頼|連絡先は運営者・サーバー会社・広告主の3つが参考になります。

③検索エンジンと公的な相談窓口

GoogleにはフィッシングサイトやマルウェアなどのWebサイトを報告するフォームがあり、報告が通れば警告表示が出ることがあります。あわせて、警察庁のサイバー犯罪相談窓口や、消費生活センターへの情報提供も選択肢です。どこに出せば必ず消えるという窓口は存在しませんので、複数に並行して出すのが現実的です。

Google上の自社の会社情報そのものが書き換えられている場合は、通報ではなく修正提案の手続きになります。手順はGoogleのナレッジパネルを修正する手順|会社名・お店情報の誤情報を直す方法を参照してください。

なりすましSNSアカウントを通報する手順

「なりすまし」専用の報告フォームを使う

主要なSNSには、通常の投稿通報とは別になりすまし(impersonation)専用の報告経路が用意されています。投稿単位の通報ではアカウント自体が残るため、必ず専用の経路を選んでください。

  1. 偽アカウントのプロフィール画面を開き、メニューから「報告」を選ぶ
  2. 報告理由の一覧から「なりすまし」に当たる項目を選ぶ
  3. 「自分の会社・ブランドになりすましている」といった、第三者としてではなく権利者として報告する選択肢を選ぶ
  4. 公式アカウントのURL、公式サイトのURL、法人であることを示す資料を添える

公式アカウントを持っていない会社は、この手続きの前に公式アカウントを作るか、公式サイト内に「当社の公式アカウントは開設していません」と明記しておくと、報告時の説明が通りやすくなります。

通報前に用意しておくもの

  • 偽アカウントのユーザー名(@から始まる文字列)とプロフィールURL
  • 画面全体のスクリーンショット(日付が入る形で撮る)
  • 被害の報告があればその内容(誰に、どんなメッセージが届いたか)
  • 自社の登記情報、または商標登録番号

スクリーンショットは削除されたあとでは撮れません。通報より先に保存するのが鉄則です。

顧客への告知文はどう書くか

顧客への注意喚起が検索候補に波及する様子を表すイメージ

なりすまし対応で、通報と同じくらい効くのが自社からの告知です。公式が明確に否定している事実が残っていれば、被害の拡大を止められますし、あとから「会社は何もしなかった」と言われることも防げます。

告知文に入れる5つの要素

  1. 事実の提示(当社名を名乗る○○が確認されています)
  2. 自社との関係の否定(当社とは一切関係がありません)
  3. 見分け方(公式サイトのURL、公式アカウントのユーザー名を正確に書く)
  4. お願い(心当たりのある連絡を受けた場合は応じないでください)
  5. 問い合わせ先(自社の正規の連絡先)

書くときの注意は2つです。ひとつは、偽サイトのURLをそのまま載せないこと。誘導になってしまいます。もうひとつは、相手を非難する表現や推測を入れないこと。「詐欺集団が」「反社会的勢力が」といった断定は、後で事実と違った場合に自社の責任になります。

掲載する場所と、残し方

自社サイトのトップページに掲載し、日付を入れてお知らせページにも記事として残してください。トップのバナーだけだと、期間が過ぎたときに記録が消えてしまいます。検索されたときに公式の説明が出てくる状態を作ることが目的なので、独立したページとして持っておく価値があります。

この「自社発信で検索結果を埋める」動きは、なりすまし対応に限らず有効です。考え方はプレスリリースの効果は中小企業にもある?検索結果を自社発信で埋める方法にまとめています。

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なりすまし被害は、検索候補にも連鎖する

見落とされやすいのがここです。偽サイトの被害者が増えると、その人たちは被害に遭ったあとで自社の名前を検索します。「会社名+詐欺」「会社名+偽サイト」「会社名+届かない」といった語で調べる人が短期間に集中すると、その組み合わせが検索候補に育ってしまいます。

実際に起きる流れ

たとえば架空の「〇〇工業株式会社」を騙る偽通販サイトが作られたとします。購入した人が商品が届かないことに気づき、「〇〇工業 詐欺」と検索する。SNSで注意喚起が回り、同じ語で検索する人が増える。結果として、被害者ではなく加害者のように見える語が自社名の隣に並ぶという、理不尽な状態が生まれます。

この現象そのものの仕組みはサジェスト汚染とは?会社名の隣に出る「変な言葉」の正体で詳しく書いています。また、検索の動きが候補に反映されるまでには時間差があるため、被害の発生と候補の出現がずれる点にも注意が必要です(サジェストの反映期間はどのくらい?出るまで・消えるまでの目安)。

連鎖を早めにつかむ

なりすましが確認された時点で、社名単体だけでなく「社名+詐欺」「社名+偽サイト」「社名+返金」といった組み合わせを監視対象に加えてください。候補が出てから気づくのと、出る前から見ているのとでは、打てる手の数が変わります。

手動で毎日見るのが難しい場合、当サイトが提供する AccessSuggest のような監視ツールで自動化できます。すでに候補が出てしまっていて削除も検討したい段階であれば、成果報酬型の料金体系を持つサジェスト汚染対策サービスのような相談先を、選択肢のひとつとして持っておくとよいでしょう。

弁護士・警察に相談する線引き

相談前に証拠を確認・保全する流れを表すイメージ

自社でできる範囲と、専門家の領域

ここまで書いた「通報フォームからの報告」「顧客への告知」は、自社だけで進められます。一方、次のような段階に入ったら専門家の領域です。

  • 実際に金銭被害が発生し、被害者から自社に補償を求められている
  • 商標権の侵害を根拠に、法的な手続きで削除を求めたい
  • 誰がやっているのかを特定して、損害賠償を請求したい
  • 通報を繰り返しても止まらず、同じ相手が作り直しを続けている

どのタイミングで相談に切り替えるかの判断軸は、サジェストの削除は弁護士に相談すべき?依頼を検討する4つのケースと相談前の準備で整理した考え方がそのまま使えます。

相談前に揃えておく資料

  • 偽サイト・偽アカウントのURLと、日付入りのスクリーンショット
  • 自社が通報した記録(送信日時・文面・受付番号)
  • 被害の報告内容(問い合わせメール、電話の記録)
  • 自社の登記事項証明書、商標登録があればその証明

これらが揃っているかどうかで、相談当日に進む距離がまったく変わります。集めるのは自社にしかできない作業なので、先に手をつけてください。

よくある質問

偽サイトは通報すればすぐ消えますか?

いつ消えるか、あるいは消えるかどうかは、通報先の事業者の判断によります。数日で対応されることもあれば、返答がないこともあります。消えるまでの間は、自社の告知で被害を防ぐ側に力を割いてください。

商標登録をしていないと通報できませんか?

通報自体はできます。商標登録があると権利者であることの証明が簡単になるというだけで、登記情報や公式サイトの存在でも説明は可能です。ただし繰り返し狙われる会社名・サービス名であれば、商標登録を検討する価値はあります。

偽サイトの存在を公表すると、かえって不安を広げませんか?

公表しなかった場合、顧客は被害に遭ってから自力で検索し、公式の説明がない状態でSNSの噂だけを読むことになります。事実と見分け方を先に出しておくほうが、結果として信頼は保たれます。

まとめ

なりすましと偽サイトは、悪く書かれる被害とは別のカテゴリの問題です。評判が下がるだけでなく、自社を信じた人が実害を受けます。

  • 見つけたらまずスクリーンショットを保存し、それから通報する
  • 偽サイトは運営者・ドメイン登録会社・検索エンジンの3方向へ
  • SNSは「なりすまし」専用の報告経路を権利者として使う
  • 顧客への告知は、事実・否定・見分け方・お願い・連絡先の5点を日付入りで残す
  • 「社名+詐欺」などの語が検索候補に育たないか、並行して見ておく

そして、なりすましに強い会社の条件は、平時に公式の情報がきちんと見つかる状態を作っておくことです。指名検索の整え方はブランドを検索で守る方法|指名検索の見え方を整える3つの手順にまとめてありますので、落ち着いたタイミングで一度見直してみてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。

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この記事を書いた人

三田 健司のアバター 三田 健司 株式会社アクセス・リンク 代表取締役 / 認定SEOコンサルタント

(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント。株式会社アクセス・リンク代表。10年以上にわたりSEOコンサルティングとホームページ制作に携わり、40業種・100サイト以上の改善に立ち会ってきました。

この仕事をしていると「検索結果に何が出ているか」で問い合わせの数がはっきり変わる場面に何度も出会います。なかでもサジェスト(検索候補)は、本人がいちばん見ていない場所です。取引先や求職者から指摘されて初めて気づく、という相談が実際に少なくありません。

指摘される前に自分で気づける仕組みがほしい。そこから AccessSuggest を作りました。このブログでは、サジェスト汚染や風評被害について「まず自分でできること」を、専門用語を避けて書いていきます。

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