ネガティブSEOとは、競合や悪意のある第三者が、他社サイトの検索順位を下げる目的で仕掛ける嫌がらせ行為のことです。結論から言うと、順位が落ちたからといって、すぐにネガティブSEOを疑う必要はありません。Googleは「ほとんどの場合、どのリンクを信頼すべきかは自動で判断できる」という趣旨を公式ヘルプで説明しており、まずは自社側の変更・技術的な不具合・検索結果の通常の変動を確認するのが先です。
この記事では、「誰かに攻撃されているのでは」と不安になった経営者・店舗オーナーの方に向けて、本当に攻撃かどうかを見分ける確認手順を、Search Console(Googleが無料で提供する、自社サイトの検索状況を確認するツール)の画面の見方を中心に整理します。
ネガティブSEOとは?「仕掛けられる側」の基礎知識

言葉の意味
SEO(検索エンジン最適化)とは、検索結果で自社サイトが見つかりやすくなるよう整える取り組みのことです。ネガティブSEOはその反対で、他社サイトの評価を落とすことを狙った行為を指します。典型的には、無関係なサイトから大量のリンクを張る、文章を無断で複製する、偽の低評価を投稿する、といった手口が語られます。
逆SEOとの違い
似た言葉に「逆SEO」がありますが、こちらは自社が、悪評記事などの順位を相対的に押し下げようとする側の話です。効果と限界はネガティブな記事の順位を下げるには?逆SEOの効果と、その前にやるべきことで整理しています。ネガティブSEOは、その反対に第三者から仕掛けられる側の話です。立場が逆なので、取るべき行動もまったく異なります。
過度に恐れなくてよい理由
実際に相談を受けても、「順位が下がった=攻撃された」というケースは多くありません。コンテンツの更新、サイトの移転、Googleの検索アルゴリズムの更新、競合サイトの改善など、順位が動く理由はほかにいくつもあります。どの程度の頻度で本物の攻撃が起きているかを示す確かな統計はなく、軽々に断定はできません。だからこそ、疑う前に順番に確認することが大切です。
実際に起こり得る3つの攻撃パターン

低品質リンクの大量送付
被リンク(他のサイトから自社サイトへ張られたリンク)を、無関係な外国語サイトや内容の薄いサイトから大量に送りつけるパターンです。リンクの数や質が不自然に変化すると、検索エンジンから不当な評価を受けるのではないかと心配されます。ただし前述のとおり、Googleは多くの不自然なリンクを自動で無視できるとしています。リンクが増えた事実だけで、順位低下の原因と決めつけないことが重要です。
コピーコンテンツと偽レビュー
自社サイトの文章を丸ごと複製して別サイトに掲載する、あるいは口コミサイトに事実と異なる低評価を連投する、といった手口です。社名や店名を騙るサイトやアカウントが作られることもあり、こちらは会社名を騙るなりすましアカウント・偽サイトへの対応で確認手順と通報先をまとめています。
不正アクセスによる改ざん
サイトのセキュリティが弱いと、外部の人物に侵入され、隠しリンクを埋め込まれたり、検索結果に表示させない設定(noindex)を紛れ込ませられたりすることがあります。これはリンクを送りつけられる攻撃とは違い、自社サイトそのものが書き換えられる被害です。サーバーの管理画面やWordPressの更新状況、管理者アカウントの見直しが必要になります。
「攻撃された」と思う前に確認したい順位低下の原因

自社側の変更・技術的な不具合を洗い出す
順位が下がった時期の前後に、次のような変更をしていないかを確認します。記事やページの大幅な書き換え、URLの変更やサイトのリニューアル、サーバーやプラグインの更新、robots.txt(検索エンジンの巡回を制御するファイル)やnoindex設定の変更などです。公開前チェックのミスで、意図せず検索結果から外れているケースは珍しくありません。
検索結果の通常の変動かどうかを見る
Googleは日々検索結果を調整しており、数日〜数週間で順位が前後することはよくあります。1日だけの下落で判断せず、Search Consoleの検索パフォーマンスで、少なくとも数週間分の推移を見てから判断してください。特定のページだけが下がったのか、サイト全体が下がったのかも、切り分けのヒントになります。
社名検索で自社が出てこない場合
社名で検索しても自社サイトが上位に出ないときは、攻撃以外にも原因が複数あります。見直す順番は社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処に整理していますので、先にそちらで自社の状況を確かめてください。
Search Consoleのリンクレポートの見方

見る場所と見るポイント
Search Consoleの左メニューにある「リンク」で、外部リンク(他のサイトから自社に張られたリンク)の状況が確認できます。「上位のリンク元サイト」「上位のリンクされているページ」などの一覧が表示され、どのサイトからどのページへ、どれだけ張られているかが分かります。メニュー名や画面の構成は変更されることがあるため、最新の表示は実際の画面でご確認ください。
見るべきポイントは、自社と無関係な言語・業種のサイトからのリンクが短期間に急増していないか、同じ語句で張られたリンクが極端に偏っていないか、の2点です。逆に、取引先や掲載媒体など心当たりのあるサイトからのリンクは、通常の被リンクです。
月1回の記録を残しておく
リンクの状況は、増えた瞬間より「前の月と比べてどう変わったか」で判断しやすくなります。毎月同じ日に、リンク元サイトの上位一覧と合計数をスプレッドシートへ控えておくと、異変に早く気づけます。記録の型は、指名検索数の調べ方の月次記録とあわせて運用すると手間がかかりません。
「手動による対策」の通知が出ていないか確認する

手動による対策とは
手動による対策とは、Googleの担当者が、サイトがスパムに関するポリシーに違反していると判断したときに適用する措置のことです。該当すると、Search Consoleに通知が表示されます。ネガティブSEOの不安がある場合、まず確認すべきなのはここです。通知がなければ、少なくとも手動による措置は受けていないと判断できます。
確認する手順
Search Consoleの「セキュリティと手動による対策」のメニューから、「手動による対策」を開きます。「問題は検出されませんでした」と表示されていれば、手動による措置は確認されていません。同じメニューの「セキュリティの問題」では、ハッキングやマルウェアなどの検出有無も確認できます。通知が出ている場合は、記載された内容と対処方法に従ってください。
リンクの「否認」は慌てて使わない

否認ツールとは
否認ツール(Disavow tool)とは、「このリンクは評価の対象から外してほしい」とGoogleに申し出るための機能です。Googleの公式ヘルプによれば、これは慎重に使うべき高度な機能であり、不適切に使うとサイトの検索パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
Googleが示している使うべき条件
公式ヘルプでは、手動による対策を受けた、またはその可能性が高い、かつ、スパム的・人工的・低品質なリンクが相当数ある、という場合に限って使うことを案内しています。また、まず自分でリンクの削除を依頼できるものは削除してもらい、それでも消せないものだけを否認するという順序です。多くのサイトでは、このツールは必要ないとされています。
知っておきたい運用上の注意
否認リストは、拡張子が.txtのファイルで、1行に1つのURLまたは「domain:」で始まるドメインを記載する形式です。アップロードできるのはプロパティの所有者のみで、反映には数週間かかる場合があります。また、否認したリンクも、Search Consoleのリンクレポートには引き続き表示されます。「否認したのにリストから消えない」と慌てて何度も操作しないようにしてください。詳細な仕様は、公式ヘルプの最新版で確認するのが確実です。
コピーコンテンツ・偽レビュー・改ざんへの対応

コピーコンテンツが見つかったとき
自社の文章が無断で複製されていると気づいたら、まず元の掲載先と日時が分かる形で、画面を保存します。そのうえで、掲載先サイトの運営者へ削除を依頼する、掲載先のサーバー会社へ連絡する、Googleの著作権侵害に関する削除リクエストを検討する、という順に進めるのが一般的です。法律の判断が絡むため、請求書面の作成が必要な場合は、弁護士に相談してください。
偽の口コミが投稿されたとき
口コミサイトやGoogleマップに、事実と異なる低評価が並んだ場合は、各サービスのガイドラインに沿って通報するのが基本です。Googleマップの口コミについては、Googleマップの口コミを削除依頼する手順に詳しくまとめています。投稿の証拠は、後から必要になる可能性があるため、早い段階で保存しておいてください。
自社サイトが改ざんされたとき
管理者パスワードの変更、不要なアカウントの削除、WordPress本体とプラグインの更新、バックアップからの復元などを、できるだけ早く行います。契約しているサーバー会社のサポートや制作会社にも、並行して相談してください。復旧後は、Search Consoleのセキュリティの問題に残っている警告がないかを確認します。
日ごろの予防と、記録の取り方

異変に早く気づく仕組みを作る
ネガティブSEOが怖いのは、気づくのが遅れることです。毎月のリンクの確認に加え、社名の指名検索数を指名検索数の調べ方で追跡しておくと、急な落ち込みを数字で捉えられます。社名や店名のニュースやブログ記事の掲載を知らせてくれるGoogleアラートの設定方法も、無料でできる見張りになります。
検索結果の見え方も合わせて確認する
順位だけでなく、社名で検索したときの見え方全体を整えておくことも、結果的に悪意ある第三者の影響を小さくします。考え方はブランドを検索で守る方法に3つの手順でまとめています。また、検索候補(サジェスト)に不穏な語が現れていないかを定期的に見るには、サジェストの監視方法が参考になります。Google・Bing・Yahoo!の候補を毎日自動で確認したい場合は、運営元のAccessSuggestも選択肢のひとつです。
攻撃を疑ったときの記録と社内共有
異変に気づいたら、日時・画面・URLを必ず保存し、社内の誰が何を確認したかを残します。記録の取り方や対応の役割分担は、会社への誹謗中傷の対応の5つのルールが土台になります。すべてを一人で抱え込まず、サイト制作会社や弁護士など、必要な専門家へ早めに相談できる体制を整えておいてください。
よくある質問

Q. 被リンクが急に増えたら、否認すべきですか?
A. 急いで否認する必要はありません。Googleは多くの不自然なリンクを自動で判断できるとしており、否認は手動による対策を受けた、またはその可能性が高い場合などに限った機能だと案内しています。まず手動による対策の通知有無を確認してください。
Q. 競合が攻撃しているかどうかを、確実に特定できますか?
A. 外部から確実に特定するのは、実際には困難です。リンク元サイトの運営者や目的を、画面の情報だけで断定することはできません。「攻撃者を探す」ことよりも、自社の状態を記録し、影響の有無を確認することに力を使うほうが現実的です。
まとめ

ネガティブSEOは、第三者から仕掛けられる嫌がらせですが、順位低下の原因として最初に疑うものではありません。自社の変更や技術的な不具合、通常の変動を確認し、Search Consoleのリンクと手動による対策を見て、順に切り分けましょう。否認ツールは、Googleが示す条件に当てはまるときだけ、慎重に使う機能です。
毎月の記録と指名検索の確認を習慣にすれば、異変に早く気づけます。社名の検索候補に不審な語が増えていないか、無料で確かめるところから始めてみてください。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
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