Googleマップの検索窓に店名を入れたとき、店名のうしろに「まずい」「潰れた」「ぼったくり」といった言葉が並ぶことがあります。これは地図アプリの中だけで動いている検索候補で、いつも見ているウェブ検索のサジェストとは別の仕組みです。
やることの順番は決まっています。①第三者の目でどう見えているかを確認する → ②Googleビジネスプロフィールの店舗情報を正しく整える → ③ポリシー違反にあたる候補だけを報告する、の3段階です。この記事では、店舗オーナーの方が自分の手で進められる形に分解して説明します。
Googleマップのサジェストに店名と変な言葉が並ぶ理由
地図検索の候補は「場所を探す言葉」から作られる
Googleマップの検索候補は、地図上の場所を探すために打ち込まれた言葉をもとに作られています。ウェブ検索の候補が「調べたいことすべて」を対象にしているのに対し、地図検索は店舗・施設・住所といった「場所」に用途が絞られているのが特徴です。
そのため、店名だけを打ち込んだ段階で出る候補は、多くの場合「店名+近くの地名」「店名+メニュー名」「店名+営業時間」のように、来店の直前に調べられがちな言葉が中心になります。ここにネガティブな語が混じるということは、実際にその語で場所を探した人が一定数いた、という可能性を示しています。
ウェブ検索の候補がそのまま流れ込むわけではない
よくある誤解が「Google検索で出ている候補が、そのままマップにも出ている」というものです。実際には別々に生成されているため、ウェブ検索では出ないのにマップだけに出る、あるいはその逆も起こります。サジェストが決まる要因そのものについてはサジェストの決まり方と仕組みで整理していますが、地図検索はそこに「位置情報」という要素が強く加わると考えてください。
つまり、ウェブ検索側だけを見て「うちは大丈夫」と判断すると、地図側の候補を見落とします。店舗ビジネスでは、来店直前のスマホ操作が地図アプリの中で完結することも多いため、こちらの見落としのほうが痛手になりがちです。
ウェブ検索のサジェストとの3つの違い
違い1:対象が「場所」に限られる
ウェブ検索のサジェストは、Google・Bing・Yahoo!でそれぞれ挙動が異なります(この比較はGoogle・Bing・Yahoo!のサジェストの違いにまとめています)。地図検索はこれらとはさらに別で、Googleマップという1つのプロダクトの中で完結しています。BingやYahoo!の地図には、Googleマップの候補は引き継がれません。
違い2:口コミ・写真・営業情報がすぐ隣にある
ウェブ検索の候補をクリックすると検索結果一覧に飛びますが、地図検索の候補をタップすると、そのまま店舗の詳細画面(口コミ・写真・営業時間・電話番号が並ぶ画面)に着地します。候補と口コミの距離が近いぶん、ネガティブな候補は「見て終わり」で済まず、その場で低評価の口コミまで読まれる流れになりやすいのが地図検索の怖さです。
違い3:削除の窓口が同じではない
ウェブ検索のサジェストには、検索候補そのものに対する報告の導線があります。地図検索の場合、候補単体を直接削除申請する導線は用意されておらず、実務上は「店舗情報を正す」「元になった口コミや投稿をポリシー違反として報告する」という間接的なルートを取ることになります。ウェブ検索側の申請手順はサジェストの削除方法4つに書いていますが、同じつもりで進めると窓口が見つからず戸惑うので、最初に分けて考えておくと迷いません。
自分で確認する手順|スマホとPCで見え方を揃える
手順1:スマホアプリでシークレット状態にする
Googleマップのアプリは、自分の検索履歴と現在地を強く反映します。オーナー本人が自分の店名を何度も検索していると、その履歴自体が候補として上位に出てきてしまい、他人にどう見えているかが分かりません。
- アプリ右上のアカウントアイコンをタップする
- メニューから「シークレット モードをオンにする」を選ぶ
- その状態で検索窓に店名を入力し、確定せずに候補だけを見る
- 表示された候補をスクリーンショットで残す
手順2:PCブラウザでも同じことをする
PCのブラウザでシークレットウィンドウ(プライベートウィンドウ)を開き、Googleマップにログインしない状態で同じ検索をします。スマホとPCで候補が違うことは珍しくないので、両方の記録を残しておきます。
なお「人によって候補が違う」現象そのものはウェブ検索でも起きています。理由はサジェストの見え方が人によって違う理由で詳しく説明しているので、社内で「私の画面には出ない」という声が出たときはこちらを共有してください。地図検索では、これに現在地の違いが加わるため、店舗から離れた場所で確認すると候補が変わる点にも注意が必要です。
手順3:ウェブ検索側も並べて確認する
地図だけ見て終わりにせず、ウェブ検索の候補も同じ日に確認して並べます。3つの検索エンジンでの確認手順はサジェストの調べ方|自社名の検索候補を自分で調べる3エンジン手順にまとめてあるので、そのまま流用できます。さらに検索結果ページ下部の関連キーワード欄も見ておくと、どの言葉が広がりつつあるかの見当がつきます(この枠については虫眼鏡キーワードとは?で解説しています)。
Googleビジネスプロフィールとの関係が地図検索の分かれ目
オーナー確認が済んでいないと何も動かせない
Googleビジネスプロフィールとは、Googleマップや検索結果に表示される店舗情報を、店舗側が管理するための無料のサービスです。地図検索まわりの対処は、ほぼすべてこの管理権限を持っていることが前提になります。
未登録・未確認のまま放置されている店舗は珍しくありません。ハガキや電話でのオーナー確認を済ませない限り、店舗情報の修正も、口コミへの返信も、写真の削除依頼もできません。地図検索の対策は「オーナー確認を取る」から始まると考えて差し支えありません。
店名・カテゴリ・営業情報を正しく保つ
意外に見落とされがちなのが、店舗情報の不備が候補を歪めるケースです。たとえば営業時間が古いままだと「〇〇 やってない」「〇〇 閉店」と検索する人が増え、その語が候補として育っていく、という流れが起こり得ます。
- 営業時間・臨時休業・年末年始の情報が最新か
- 電話番号と住所が現在のものか
- ビジネスカテゴリが実態と合っているか(居酒屋なのに「レストラン」だけになっていないか)
- 移転や屋号変更が反映されているか
勝手に登録された店名・重複プロフィールを整理する
Googleマップは第三者からの情報提供でも店舗情報が作られるため、正式な屋号と違う表記のプロフィールが並存していることがあります。重複プロフィールは口コミも候補も分散させるので、統合を申請して1つにまとめておきます。表記ゆれの整理は、ウェブ検索側で自社サイトが上位に出ない問題とも地続きです(社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処も合わせて確認してください)。
ネガティブな候補が出ているときにできること
まず「事実の誤りか、評価の表明か」を分ける
「閉店」「移転」のような事実に関する誤りは、店舗情報を正しく更新することで解消に向かう可能性があります。一方、「まずい」「態度が悪い」といった評価の表明は、たとえ心外でも、それ自体を消してもらうのは簡単ではありません。この線引きを最初にしておくと、無駄な労力を使わずに済みます。
元になっている投稿を探して報告する
地図検索の候補は単独で存在しているわけではなく、口コミ・写真・Q&Aといった投稿と結びついていることがあります。明らかに事実と異なる内容、来店していない人による投稿、宣伝目的の投稿などはポリシー違反として報告できます。
ただし「反論すべきか、放置すべきか」という判断そのものは、口コミ全般に共通する話です。方針の立て方は口コミサイトの悪い書き込みへの対応|放置と反論、どちらが正解かで整理しているので、報告作業に入る前に社内の方針を先に決めておくことをおすすめします。
自力で難しいときの選択肢
内容が悪質で、営業に実害が出ているようなケースでは、専門家の手を借りる判断もあります。どこからが弁護士に相談すべき領域かはサジェストの削除は弁護士に相談すべき?にまとめました。事業者向けのサジェスト対策サービスとしては、成果報酬型のプランを用意しているサジェスト汚染対策サービスのような選択肢もあるので、相談先の一つとして知っておくとよいでしょう。
地図検索の候補は「見つけたときには育っている」
検索候補は、ある日突然出るものではありません。特定の言葉で検索する人が少しずつ増え、一定の水準を越えたところで表示され始めます。逆に、原因となる出来事が収まっても、候補として残り続ける期間があります。この時間差についてはサジェストの反映期間はどのくらい?で解説しています。
つまり、オーナーが気づいた時点では、その言葉はすでにある程度の人数に検索されているということです。だからこそ、出てから探すのではなく、定期的に見に行く運用に切り替える必要があります。月に一度でも、決まった日に決まった手順で確認するだけで、気づくまでの時間は大きく縮まります。
店舗が普段からやっておく3つの予防
予防1:確認する日を決めてしまう
毎月1日、あるいは締め日のあとなど、確認日を固定します。手動・スプレッドシート・ツールという3通りのやり方はサジェストの監視方法|手動・スプレッドシート・ツールの3通りを比較で比較しているので、店舗の規模に合う方法を選んでください。
予防2:見るべき言葉をリスト化しておく
店舗の場合、正式な屋号だけでなく、略称・支店名・「地名+業種」の組み合わせ・スタイリストや店長の個人名まで検索されます。どの語を監視対象に入れるべきかは風評監視のキーワードの選び方で分類しているので、自店の言葉に置き換えて作ってみてください。
予防3:良い情報を自分の手で置いておく
候補を消すことばかり考えるより、正しい情報が見つかる状態を作るほうが効果は長続きします。写真の更新、投稿機能の活用、自社サイトの店舗ページの整備といった地道な作業が効いてきます。全体の考え方はブランドを検索で守る方法にまとめました。
よくある質問
Q. Googleマップの候補は、口コミを削除すれば消えますか?
必ずしも連動しません。候補は検索された言葉から作られるため、口コミが減っても、その言葉で検索する人が一定数いる限りは残ることがあります。口コミへの対応と候補への対応は、別の作業として並行して進めるのが現実的です。
Q. 自分のスマホでは出ないのですが、大丈夫でしょうか?
自分の端末はログイン状態・検索履歴・現在地の影響を受けるため、判断材料になりません。必ずシークレットモードで、できれば店舗から離れた場所でも確認してください。
Q. 開店したばかりで候補がほとんど出ませんが、何かすべきですか?
候補が空の状態は、悪い情報が入り込む余地がある状態でもあります。オーナー確認を早めに済ませ、店舗情報を埋め、同名・類似名の他店と混同されていないかを確認しておくのが有効です。
まとめ
Googleマップのサジェストは、ウェブ検索とは別プロダクトの別機能です。候補単体を消す窓口がない代わりに、Googleビジネスプロフィールの管理権限を持ち、店舗情報を正しく保ち、違反投稿を報告するという店舗側にできる打ち手があります。
- シークレットモードで、スマホとPCの両方から候補を確認する
- オーナー確認を済ませ、営業時間・住所・カテゴリを最新に保つ
- 「事実の誤り」と「評価の表明」を分けて、対処の優先順位をつける
- 候補は育つのに時間がかかる分、消えるのにも時間がかかると理解しておく
- 月に一度、決まった手順で確認する運用にする
地図検索の候補は、来店するかどうかを決める直前の画面に表示されます。ウェブ検索よりも売上への距離が近い枠だと考えて、優先度を上げて確認しておいて損はありません。
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。
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