「他の人はこちらも質問」(PAA)に不利な質問が出たときの考え方|自社で答えを取り戻す

検索結果に並ぶ質問パネルと虫眼鏡を表したイメージ

「他の人はこちらも質問」(PAA=People Also Ask)は、Googleの検索結果の途中に折りたたみ式で並ぶ質問リストです。ここに自社にとって不利な質問が出てしまっても、サジェストのような削除申請の窓口は基本的にありません。

ただしPAAは「その質問に答えているページ」が引用される枠です。つまり、押し下げるのではなく自社で正面から答えて引用元を置き換えるという戦い方ができます。この記事では、PAAの仕組み・自分で確認する手順・自社で答えを取り戻す進め方を、中小企業の担当者向けに整理します。

目次

「他の人はこちらも質問」(PAA)とは?検索結果に並ぶ質問リストの正体

「他の人はこちらも質問」は、Googleの検索結果ページの途中に表示される、質問が縦に並んだ箱のことです。英語では People Also Ask と呼ばれ、その頭文字をとってPAAと略されます。

質問をクリックすると答えが開き、さらに質問が増える

PAAの質問は、クリックすると下に折りたたまれていた回答が展開されます。回答はどこかのWebページの本文から抜き出されたもので、引用元のページタイトルとURLが必ず添えられています。そして質問をひとつ開くと、その下に新しい質問が追加で読み込まれる、という動きをします。

つまりPAAは「開けば開くほど増える」枠です。最初は3〜4問しか見えていなくても、来訪者が興味本位で開いていくと、10問以上の質問が連なることも珍しくありません。

サジェスト・虫眼鏡・「他の人はこちらも検索」とは別の枠

企業名で検索したときに不利な言葉が出る場所は、実は複数あります。混同されやすいので、いったん整理しておきます。

この違いは実務上とても重要です。前の3つは「言葉」が出るだけですが、PAAは質問に対する答えまで検索結果上に表示されてしまうため、クリックされなくても内容が読まれてしまいます。

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なぜ自社に不利な質問が出るのか|PAAが質問を選ぶ仕組み

質問は「実際に検索された問い」から組み立てられる

PAAに並ぶ質問は、Googleが人力で選んでいるわけではありません。実際に多くの人が検索した言い回しや、Web上の文章に頻出する問いの形をもとに、自動的に組み立てられていると考えられています。

たとえば架空の「〇〇工務店」という会社があったとして、「〇〇工務店 評判」で調べる人が増え、Web上に「〇〇工務店は大丈夫なのか」といった文章が存在すれば、それに近い質問がPAAに現れる可能性があります。検索候補が決まる仕組みと考え方は近く、サジェストの決まり方と仕組み|Googleの検索候補が表示される4つの要因も参考になります。

回答元は、検索1位のページとは限らない

ここがPAAの特徴です。回答として引用されるのは、その検索キーワードで1位のページではなく、「その質問文にいちばん素直に答えている段落」を持つページです。

そのため、規模の小さいブログや個人サイト、まとめ記事が引用元になることがよくあります。逆に言えば、大手サイトを追い抜かなくても、質問に正面から答えたページさえ用意できれば引用元になれる余地があるということです。

質問は固定ではなく入れ替わる

PAAの質問は日によって入れ替わります。昨日見たときと今日で並びが違う、ということは普通に起こります。一度確認して安心せず、定点観測が必要になるのはサジェストと同じで、間隔の考え方はサジェストの反映期間はどのくらい?出るまで・消えるまでの目安が参考になります。

まず自分で確認する|PAAに何が出ているか調べる手順

対策を考える前に、現状を正確に把握します。特別なツールは要りません。

手順1:シークレットウィンドウで社名を検索する

ブラウザのシークレットモード(Chromeなら Ctrl+Shift+N、Macは ⌘+Shift+N)を開き、ログアウトした状態で「社名」「社名 評判」「社名 サービス名」で検索します。ログインしたまま調べると、自分の閲覧履歴に引っ張られた結果を見てしまうためです。この理屈はサジェストの見え方が人によって違う理由で詳しく説明しています。

手順2:質問をすべて展開して、回答元URLを控える

PAAの箱が出たら、上から順にすべての質問をクリックして開きます。開くと下に新しい質問が追加されるので、新しく増えた分も開いていきます。5〜10問ほど開いたところで打ち止めにして構いません。

このとき、質問文・回答の要約・引用元のURLの3点を記録します。エクセルでもメモ帳でも構いません。誰が何を根拠に答えているのかが分かると、次にやるべきことが自然に決まります。

手順3:日付を入れて残し、月に1回見比べる

記録には必ず確認日を入れます。PAAは入れ替わるので、単発のスクリーンショットには意味が薄く、時系列の変化にこそ情報があります。社名で調べるときの一連の手順はサジェストの調べ方|自社名の検索候補を自分で調べる3エンジン手順にまとめてありますので、PAAの確認をその流れに1ステップ足す形が続けやすいでしょう。

なお、検索窓のサジェストのほうは毎日の変化が早く、手で追い続けるのは現実的ではありません。手動とツールの分担についてはサジェストの監視方法|手動・スプレッドシート・ツールの3通りを比較で整理しています。

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PAAは「消す」枠ではなく「答えを置き換える」枠

専用の削除申請窓口は用意されていない

検索候補には、法令違反や個人情報を理由とした申し立ての窓口があります(手順はGoogleサジェストの削除申請の手順を参照)。一方でPAAには、質問そのものを消してほしいと申請する専用の窓口は、一般には用意されていません。

できるのは、回答として引用されている個別のページに対して、そのページの運営者に訂正・削除を依頼することです。質問文ではなく、答えの出どころに働きかけるという発想の切り替えが必要になります。

順位を押し下げる発想が効きにくい理由

ネガティブな情報への定番の対処として、別の記事を上げて順位を押し下げる、いわゆる逆SEOがあります。ただしPAAの引用元は順位で決まっていないため、この手が効きにくい枠です。逆SEOの効果と限界そのものについてはネガティブな記事の順位を下げるには?逆SEOの効果と、その前にやるべきことで詳しく書いています。

PAAで有効なのは押し下げではなく、その質問により正確に、より分かりやすく答えることです。次章で具体的な手順を見ていきます。

なお、質問の元になっている検索候補側に明らかな事実無根の言葉が出ている場合は、そちらの対応を並行して進める必要があります。自社での対応が難しいときの相談先のひとつとして、成果報酬型を用意しているサジェスト汚染対策サービスのような専門の窓口もあります。

自社で回答を奪い返す3つの手順

手順1:質問文をそのまま見出しにしたページを作る

もっとも効果が期待できるのは、PAAに出ている質問文をほぼそのままh2やh3の見出しにすることです。「〇〇のサービスは解約できますか?」という質問が出ているなら、その文言で見出しを立てます。

言い換えたり、丁寧すぎる表現に整えたりすると一致度が下がります。検索している人が使っている言葉のままにするのがコツです。

手順2:見出しの直後、2〜3文で結論を書き切る

PAAに引用されるのは、質問に対して短く完結している段落です。見出しの直後に前置きを置かず、40〜120字程度で答えを言い切ります。詳しい説明や背景はその後に書きます。

箇条書きや小さな表も引用されやすい形式です。手順を聞かれている質問なら、番号付きリストで3〜5ステップにまとめると収まりが良くなります。

手順3:そのページを「答えるにふさわしい会社」の情報で支える

同じ内容を書いても、どこの誰が書いたか分からないページより、運営者がはっきりしているページのほうが扱われやすい傾向があります。会社概要や運営者情報の整え方は会社概要・運営者情報の充実が信頼につながる理由にまとめました。

また、そもそも社名で検索したときに自社サイトが上位に出ていないと、この施策全体の効きが鈍ります。心当たりがあれば社名で検索して自社サイトが1位に出ないときの対処を先に確認してください。

PAAに答えるページを作るときの注意点

否定から書き始めない

「そんな事実はありません」から始まるページは、読み手に身構えた印象を与えるうえ、質問への答えとしても機能しません。「〇〇についてはこうしています」と、事実と自社の運用を淡々と説明する書き方のほうが、結果的に読まれます。

FAQを1ページに詰め込みすぎない

よくある失敗が、思いつく質問を1ページに30個並べてしまうことです。1問あたりの記述が薄くなり、どの質問にもきちんと答えていないページになります。重要な質問は独立した記事にし、周辺の質問だけをFAQにまとめる、という配分が扱いやすいでしょう。

自社発信の場所を検索結果に増やしておく

PAAの引用元になれるページは1つとは限りません。自社サイトの記事、プレスリリース、業界メディアへの寄稿など、自社が発信元になっている情報が複数あるほど有利です。中小企業がリリースをどう使うかはプレスリリースの効果は中小企業にもある?を参考にしてください。

事実と違う質問が出ている場合の考え方

「〇〇は倒産したのですか」「〇〇は詐欺ですか」といった、事実に反する前提の質問が出ることがあります。この場合も、まずやるのは引用元のページを特定して、その記述内容を確認することです。

引用元が明らかな誤情報であれば、そのページの運営者に訂正を依頼できます。内容が悪質で、名誉毀損にあたる可能性があるようなケースでは、自社だけで抱えずに専門家に相談したほうが早いこともあります。相談を検討する目安はサジェストの削除は弁護士に相談すべき?依頼を検討する4つのケースで整理しています。

あわせて、社内で誰がどこまで対応するかを決めておくと、いざというときに動きが速くなります。ルールづくりは会社への誹謗中傷の対応|社内でまず決めておくべき5つのルールをご覧ください。

近年は、こうした質問と答えのセットがAIの回答にも影響しうる点にも注意が必要です。AI検索で会社の評判はどう扱われる?もあわせて確認しておくと、対策の優先順位を決めやすくなります。

よくある質問

PAAに出た質問は、時間が経てば消えますか?

PAAの質問は入れ替わるため、放置していても表示されなくなることはあります。ただし、その質問が検索され続けている限り再び現れる可能性があり、消えたかどうかは自社ではコントロールできません。「消えるのを待つ」より「答えを用意しておく」ほうが確実です。

自社ページがPAAに引用されると、アクセスは減りませんか?

答えが検索結果上で読めてしまうため、クリック数だけを見ると減ることがあります。一方で、質問に答えているのが自社であるという事実が検索結果に表示される価値は大きく、特に社名や商品名に関する質問では、誤解を先回りして解ける利点のほうが上回ることが多いと考えられます。

PAAだけを監視するツールはありますか?

PAA単体を継続監視するツールは多くありません。実務では、変化が速く影響も大きい検索候補(サジェスト)をツールで自動監視し、PAAは月1回ほど手作業で確認する、という分担が現実的です。ツールの選び方はサジェスト監視ツールの比較|7つの評価軸と、手動運用との損益分岐点にまとめています。

まとめ

「他の人はこちらも質問」(PAA)は、サジェストや虫眼鏡キーワードとは性質の違う枠です。要点を整理します。

  • PAAは質問とその答えが検索結果に表示される枠で、クリックされなくても内容が読まれる
  • 引用元は検索1位のページとは限らず、質問に素直に答えている段落を持つページが選ばれる
  • 質問を消す専用窓口は基本的にない。押し下げ(逆SEO)も効きにくい
  • 有効なのは、質問文をそのまま見出しにして、直後の2〜3文で答え切るページを自社で作ること
  • 事実と違う内容が引用されている場合は、質問ではなく引用元ページの運営者に働きかける

まずはシークレットウィンドウで自社名を検索し、PAAに何が並んでいるかを1枚のメモに書き出すところから始めてみてください。

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的助言ではありません。個別の事案については弁護士にご相談ください。

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この記事を書いた人

三田 健司のアバター 三田 健司 株式会社アクセス・リンク 代表取締役 / 認定SEOコンサルタント

(社)全日本SEO協会 認定SEOコンサルタント。株式会社アクセス・リンク代表。10年以上にわたりSEOコンサルティングとホームページ制作に携わり、40業種・100サイト以上の改善に立ち会ってきました。

この仕事をしていると「検索結果に何が出ているか」で問い合わせの数がはっきり変わる場面に何度も出会います。なかでもサジェスト(検索候補)は、本人がいちばん見ていない場所です。取引先や求職者から指摘されて初めて気づく、という相談が実際に少なくありません。

指摘される前に自分で気づける仕組みがほしい。そこから AccessSuggest を作りました。このブログでは、サジェスト汚染や風評被害について「まず自分でできること」を、専門用語を避けて書いていきます。

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